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吉見 友貴 ピアノリサイタル 開催レポート
《 桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズ Vol.40 》
2018年
9月5日(水) 開場18:30 開演19:00
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 《桐朋学園 表参道サロンコンサートシリーズVol.40》9月5日は桐朋女子高等学校音楽科3年に在学中の吉見友貴さんがご登場されました。吉見友貴さんは高校生にして、日本音楽コンクール第1位、併せて野村賞、井口賞、河合賞、アルゲリッチ芸術振興財団賞を受賞、その他にも数多くのコンクールで受賞経験のある期待のピアニストです。

 前半はベルクの《ピアノソナタOp.1》、ブラームスの《パガニーニの主題による変奏曲イ短調Op.35》を演奏されました。ベルクは無調音楽や十二音技法を確立した新ウィーン楽派の作曲家です。ベルクのピアノソナタは調号がありながらも全体を通して調性を感じられるところがほとんどなく、ロマン派の音楽に比べて曲の理解が難しく演奏される機会が少ないですが、吉見さんは音楽の輪郭をしっかりと掴み、曲の雰囲気・魅力が伝わってきました。パガニーニの主題による変奏曲は高い技術が必要とされる難曲。鍵盤の幅広い範囲の跳躍などの難しさをまったく感じさせない余裕のある演奏でした。変奏の中の要素が一つの要素として浮かび上がるのではなく、全体の流れの中での大きな構成意識が感じられ見事でした。

 後半はショパンの《舟歌 嬰へ長調Op.60》とリストの《ピアノソナタ ロ短調S.178》を披露されました。舟歌はヴェネツィアの船頭の歌に由来するもので、本来8分の6拍子であるところを12分の8拍子にすることでノクターンのような優雅な雰囲気を醸し出しています。左手のオスティナートリズムの上に伸びやかな歌が現れ、音一粒ずつは芯のある華やかなものでありながらも、開放的というよりは上品で情緒豊かでした。続くリストのピアノソナタは単一楽章の大規模なソナタ。冒頭の動機は繰り返し曲全体を通して展開され、場面の展開が綿密に作られていることで統一感のある作品となっています。大きく分けて4部分あり、第一部で主題、第二主題の提示が行われ、緩徐楽章に相当する第二部、スケルツォの第三部を経て第四部の再現部、情熱的なコーダののちにロ長調で静かに曲が閉じられます。演奏をしている時の吉見さんはとても表情豊かで、音を愛でるかのような表情が印象的。緩徐楽章では天から日が差してくるように澄み渡った音質で、第三部から第四部にかけてはハンマーのような強烈で厚みのあるタッチで、音を自在に操っていました。会場全体が振動するような迫力で、吉見さんの世界に魅き込まれました。終結部の和音は神々しく、大きなスケールのソナタの余韻にしばらくひたりたい思いになりました。

 アンコールではラヴェルの《鏡》より〈蛾〉を演奏されました。プログラム全体を通して、吉見さんの曲の読み込み・理解、そして音楽の構成力に圧倒されました。高校生にして曲によって表現や音色をこれほどに使い分けられる吉見さんのこれからが楽しみでなりません。

(W.T.)

 

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