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黒住 友香 ランチタイムコンサート 開催レポート
東京藝術大学ランチタイムコンサート2018 in 表参道
<大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノリサイタル vol.7>
2018年7月24日(火) 12:00〜12:45(11:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 「東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノリサイタル」全14回の第7回目が行われました。今回の出演者は黒住友香さん。京都市立芸術大学を卒業し、この春東京藝術大学大学院修士課程に入学、1年在学中です。

 今回のリサイタルは、黒住さんにとって初めての東京でのリサイタルだそうです。プログラムの最初は、ショパンのピアノソナタ第2番変ロ短調「葬送」Op.35。黒住さんはまずトークで、この曲とショパンがこの曲を作曲した背景などについて、次のように説明しました。

 「この曲は全体的には悲劇的な内容になっていますが、時折光のような部分があって、そこは弾いていて救われるような気持ちになります。ショパンがこの曲を書いたのは病気と闘っていた時期で、いろいろな困難に立ち向っていたショパンの心の動きが聴き取れるのではないかと思っています。そこを感じ取っていただけたら……」と。

 第1楽章の序奏ではたっぷりとした重厚な響きを奏で、続く第1主題はかなり速いテンポで嵐のように流れ、第2主題は対照的に歌うように、そして強奏部分は力強く演奏しました。

 第2楽章は強く激しい音楽で始まりますが、トリオの穏やかで優美な部分は、黒住さんが言うところの「弾いていて救われる」部分でしょうか。聴いていても心が穏やかになります。

 第3楽章「葬送行進曲」では当然ながら重苦しい雰囲気になりますが、暗く陰々滅々とはならず、どこかに救いがあるような音楽でした。

 テンポの速い第4楽章は「葬送行進曲」の重苦しさを残しながら、勢いのある風が舞っていくように過ぎ去って終わりました。

 続いてはリスト/巡礼の年 第2年への補遺「ヴェネツィアとナポリ」S.162です。

 1曲目「ゴンドラを漕ぐ女」は、ゴンドラがたゆたう様子や、波の動きの変化、それに反射してきらめく光の様子が明るく表現されていました。

 2曲目の「カンツォーネ」は、ロッシーニの歌劇「オテロ」の中の旋律が使われた曲で、「カンツォーネ・ナポリターノ」と言われる明るい歌ではなく、やや不気味な、不安を感じさせるような曲です。

 3曲目の「タランテラ」はイタリアの舞曲の名前で、毒蜘蛛のタランチュラに咬まれたときにこの踊りを踊ると治る、という伝説で有名です。黒住さんはタランチュラが這っているような不気味な感じや、タランテラを踊っているような陽気な感じを見事に表現し、聴き手を惹き込んでいきました。

 温かい拍手に応えてのアンコールに、ショパンのノクターンOp.15-9を演奏しました。

 情緒のある素敵なピアニストの誕生を感じさせてくれたリサイタルでした。

(K.Y.)

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