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藤田 真央 ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサートVol.41 》
2018年
2月21日(水) 19:00開演 18:30開場
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 満席の会場は、今か今かと開演を待つ観客の高揚感で満ちていました。

 東京音楽大学に特別特待奨学生として在学している藤田真央さんへの注目が並ならぬものであることが明らかでした。

 そんな緊張感に包まれる会場をものともせずに、モーツァルト《ピアノ・ソナタ 第8番 イ短調 K.310》を藤田さんは決然と弾き始めました。まるで一つ一つの音が糸に通されて数珠のように連接するなめらかな旋律線、湿度を失わないノンレガート的なスタッカート、これらはモーツァルトの数少ない短調のソナタ作品を演奏することへの藤田さんの敬意が顕在化した丁寧な表現でした。そしてベートーヴェン《ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111》でのひときわ目立つ低音域での両手のユニゾンである、ドイツ音名でいう「G→A→H→C→Es→H」の威圧と「G→A→H→C」で突如止まった際の緊迫感には鳥肌が立つほどの衝撃がありました。

 プログラムに述べられていた「達観の境地」にまさに到達した藤田さんのデモーニッシュ(悪魔的)な魅力は、すっかり観客を虜にしていました。

 休憩を挟んでもなお興奮が冷めやらぬ会場を優しくなだめるかのように、後半はショパンの《アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ 作品22》で穏やかに始まりました。中盤に差し掛かると、右手は装飾音や3連符で軽快に舞い、転がっていくほどに研がれていく多彩な宝石が散りばめられたような音色の眩しさが放たれました。続いて同じくショパンの《ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58》が演奏され、こちらは情熱を秘めた痛みが心に焼け付いている、人間的なドラマ性が感じられました。全ての音質、音量、音色への演奏者の配慮は、観客を一瞬たりとも不安にさせない気負いのない音楽を響かせました。アンコールには、これまで演奏した作品の傾向とは一転、モシュコフスキーの《火花 作品36-6》が演奏され、有終の美を飾りました。

(M.S)

 

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