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森田 英里奈 ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.47 》
2018年2月9日(金) 18:30開場 19:00開演
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 2月初旬、森田英里奈さんのピアノ・リサイタルが開催されました。寒い冬に少しでも心温まる音楽を届けたいという思いから、シューベルトの《4つの即興曲》D 935、ドビュッシーの《夢想》《喜びの島》、ショパンの《ピアノソナタ第3番ロ短調》Op. 58をプログラムに選んだという森田さん。それぞれの曲に込められた彼女の熱い思いが会場いっぱいに広がっていくような充実した2時間となりました。

 シューベルト《4つの即興曲》の〈第1番〉では、悲劇的な第1主題の後に現れる、優しくも時に切ない第2主題が印象的でした。特に高音域で奏される素朴な音色が美しく、心地よかったです。〈第2番〉では、どこか懐かしさを感じさせる温かな旋律が秀逸で、泰然とした力強い部分との対比により、一層その温かさが心に染み入るようでした。主題と5つの変奏からなる〈第3番〉では、各変奏の性格が見事に弾き分けられており、その表情の多彩さは圧巻。〈第4番〉も特徴的なリズムとアクセントがよく効いた好演でした。

 ドビュッシーの《夢想》では、シューベルトの音楽の雰囲気から一変、作品タイトルのごとく夢の中のような、水面がたゆたうような幻想的な音空間が作られました。印象派の絵画を思わせる、繊細な和声の変化も巧みに表現されていました。

 ショパンの《ピアノソナタ第3番》は、作曲家の「死に打ち勝つ意志」を感じさせる作品だと森田さんはお話されていましたが、彼女の演奏もまさに内に秘めた強い意志がひしひしと伝わってくるものでした。特に第3楽章では、主題部分での左手と右手の絡み合いやフレーズの間合いが絶妙で、曲が進むにつれて音楽の集中がどんどんと高まっていくようでした。また、第4楽章では、フィナーレに向けた推進力が素晴らしく、曲が終わるやいなや満席の会場から自然と大きな拍手が起こりました。アンコールは、メンデルスゾーンの『無言歌集』より《紡ぎ歌》。和やかな雰囲気のなか、この愛らしく軽快な作品でリサイタルは締めくくられました。

(Y. T.)

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