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EXCITING ENSEMBLE 第9回
〜若手音楽家育成応援プロジェクト 第9回〜 開催レポート
音楽監督/金木 博幸 (東京フィルハーモニー交響楽団首席チェリスト)
出演:金木 博幸(音楽監督・チェロ)、四戸 世紀(ゲスト・クラリネット)、稲生 亜沙紀(ピアノ)、西原 瑠一(ピアノ)

2018年
1月17日(水) 19:00開演 18:30開場
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 

 本格的なアンサンブルの経験がなかなか得られない若手ピアニストに、弦や管のトップ・アーティストとの共演の場を提供する「EXCITING EMSENBLE」。全10回の第9回を迎え、この貴重なプロジェクトも残すところあと1回となりました。

 出演は、レギュラー出演者にプロジェクトの発起人兼音楽監督、チェリストの金木博幸さん(現・東京フィル首席チェリスト)、ゲスト出演者にクラリネット奏者の四戸世紀さん。四戸さんは1983年第1回ブラームス国際コンクールのトリオ部門で第1位・特別賞を受賞し、北西ドイツ・フィル、ベルリン響、読響の首席奏者を歴任した名プレイヤーです。対するピアニストは稲生亜沙紀さん、西原瑠一さん。それぞれがチェロ・ソナタとクラリネット・ソナタの両方に挑戦しました。プログラムはオール・ブラームス。今回も普通にはなかなかない、思い切ったプログラムです。

 さて、冒頭の曲は稲生さんのピアノで「チェロ・ソナタ第2番 ヘ長調 Op.99」。低音で朗々と歌い上げるチェロが魅力の第1楽章、ピッツィカートの緊迫感が何とも哲学的な第2楽章、二人の奏者のせめぎ合いが迫力の第3楽章、明るく爽快なフィナーレ第4楽章。金木さんの情熱のチェロが、ピアニストが存分に弾けるよう誘います。

 続いて西原さんのピアノで「クラリネット・ソナタ第1番 ヘ短調 Op.120-1」。枯淡と底力の第1楽章、穏やかながら孤独感を帯びた第2楽章、さり気なく素敵なワルツ第3楽章、二人の軽妙なやり取りが聴きどころの第4楽章。四戸さんの伸びやかなクラリネットの音色が、ピアニストと聴衆を柔らかく包み込みます。

 休憩を挟んで後半の曲を始める前の、いつも楽しい金木さんのトーク。最近のチェロ・ソナタの演奏頻度として、かつてよく弾かれたブラームスよりも、ラフマニノフやプロコフィエフの方が頻度が高いのだとか。難曲志向が高まった上に、現代のピアノという楽器の音量を分かって作曲している近代のラフマニノフやプロコフィエフのソナタの方が、ピアノの響きの中でもチェロの音が聞こえてきやすいのだそうです。へえ〜っというお話が聞けて、得した気分になれます。

 後半最初の曲は西原さんのピアノで「チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 Op.38」。チェロの格好良さにしびれる第1楽章、チェロとピアノがベストマッチを見せる高貴な第2楽章、迫真のフィナーレ第3楽章。胸がいっぱいになりました。

 ラストは稲生さんのピアノで「クラリネット・ソナタ第2番 変ホ長調 Op.120-2」。ブラームス最晩年のこの曲について金木さんは、「個人的に一番好き。名曲中の名曲。こんな曲があるクラリネットがうらやましい、なんでチェロにないのだろう」と心底悔しそうにおっしゃっていました。どんな曲かと聴いてみたら…。素直で優しい心の旋律・第1楽章、クラリネットの熱い旋律が胸に迫る第2楽章、平穏な境地へと落ち着く第3楽章。吹っ切れた、これでいいじゃないか。ブラームスの最期の境地なのでしょうか。本当ですね! 金木さん。涙なしには聴けませんでした。

 次回は遂にプロジェクト最終回。2018年6月19日(火)、金木博幸さんがベートーヴェンのチェロ・ソナタを全曲演奏します。全5曲、ピアニスト5人。すごいプログラム。絶対に聴き逃せません。

(H.A.)

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