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松岡 直子 ピアノリサイタル 開催レポート
《 くにたちサロンコンサートin表参道 シリーズ24 》
2017年
12月14日(木) 19:00開演 18:30開場
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 ドビュッシーとラヴェル 、この二人のフランス人作曲家の作品は、印象派として同じ括りに分類されることが一般的です。歴史的にみると共通点が多いものの、二人の「音楽語法」の違いを松岡さんはどのように弾き分けるのか、大きな期待を胸に演奏会の始まりを待ちました。

 まずは、ドビュッシー《版画》です。「塔」では、西洋の音楽理論では禁じ手とされている第三音を抜かした完全五度を強調させた響きを積極的に取り入れた作品に、不安定ながらもどこか親しみを感じさせるような演奏で観客を虜にしました。嬰ハ音を中心としたハバネロのリズムが魅力的な「グラナダの夕べ」に対し、「雨の庭」では、16分音符から成る乾いた雨の音とフランスの童謡から成る主題を有機的に組み合わせ、作曲者の異国への憧れと自国への郷愁の二つの思いが伝わってきました。

 続いてラヴェル《鏡》の「夜に舞う蝶」と「悲しき鳥たち」では、翻る羽の動きを模倣したかと思うと鳥のさえずりに詩情を反映させ、また「洋上の小舟」では波のうねりを彷彿とさせました。「道化師の朝の歌」は変則的なアクセントと華麗な刺繍音、二重グリッサンドなどの難解な技法を感じさせずにドビュッシーとは異なる手法で異国情緒を器用に表現しました。「鐘の谷」では暖かさとスケールの大きさを見事に調和させていました。

 後半は、ムソルグスキー《組曲『展覧会の絵』》が演奏されました。展示されているそれぞれの絵の視覚的要素を超えたムソルグスキーの想像力が溢れ出している作品です。亡くなった親友の作品を彼がどんな思いで鑑賞したのかという問いに対し、複数回出現する「プロムナード」の音色を変えることで心情の移り変わりを表現し、ナラティヴ性を持った音楽として松岡さん独自の答えを提示しました

 アンコールはラヴェル《亡き王女のためのパヴァーヌ》で美しく静かに締めくくりました。

(M.S)

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