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田中正也プロコフィエフピアノ曲全曲演奏シリーズ
“エクスクールスィャ”最終回
田中正也 プロコフィエフへのオマージュ 開催レポート
2017年12月7日(木) 18:30開場 19:00開演
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 10年の歳月をかけた田中正也さんの渾身の演奏会、プロコフィエフピアノ曲全曲演奏シリーズ“エクスクールスィャ”もついに最終回を迎えました。

 まずは、《4つの小品 Op.3 おとぎ話/冗談/行進曲/幻影》、《4つの小品 Op.4 思い出/衝動/絶望/悪魔的暗示》と具体的なイメージと抽象的な心理の二つの描写を見事に田中さんは表現しました。《ディヴェルティメント Op.43-bis ディヴェルティメント/ノクターン/ダンス/エピローグ》では、アーティキュレーションを意識した演奏法によって、管弦楽作品であるオリジナルの色彩を失わずにピアノ曲への翻訳を実現したかと思うと、《3つの小品 Op.59 散歩/風景/田園風ソナチネ》では、演奏前に田中さんが作品を綿密に解説することで、まるでプロコフィエフが見ていた景色を追体験するかのような不思議な感覚に包まれて音楽に浸ることができました。

 後半は、小品が続いた前半と比べて重厚な音組織である《思考 Op.62》で幕を開けました。複雑で深刻な世界から《バレエ〈シンデレラ〉から10の小品 Op.97より 夏の精/秋の精/きりぎりすととんぼ/オリエンタル/パスピエ/カプリッチョ/ブーレ》で一転しどこかコケティッシュな世界に移ると、田中さんの言う「そっぽを向いてしまう」かのようなプロコフィエフのユーモラスな一面を見ることができました。最後には《ピアノソナタ 第5番 Op.135》、《ピアノソナタ 第10番 Op.137未完》が演奏され、病でありながら死の直前まで音楽を紡ごうとする作曲家の真摯でストイックな思いと澄み切った感性を、集中し切った演奏で圧倒しました。

 アンコールでは《10の小品 Op.12-7 前奏曲「ハープ」》、《インドのギャロップ》、観客のリクエストに応えてリストの《ラ・カンパネッラ》が演奏され、プロコフィエフの作曲家としての人生の原点を振り返るようで、田中さんの達成感と名残惜しさの拮抗した思いが感じ取れるような演奏会でした。

(M.S)

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