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日本ショパン協会 第280回例会
菊池 文子 ピアノリサイタル 開催レポート
《日本ショパン協会パウゼシリーズ Vol.34》
2017年12月1日(金) 開場18:00 開演18:30
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
表参道の並木道にクリスマスのイルミネーションが輝く12月1日、日本ショパン協会主催によるピアニスト菊池文子さんのリサイタルが催されました。チケットは事前に完売してしまうほどの人気ぶりで、パウゼには多くのお客様が集まりました。前半は、ショパンの影響を受けた作曲家の中から、シマノフスキとラフマニノフの作品を取り上げられました。冒頭のシマノフスキ《4つの練習曲》Op.4では、澄んだ美しい音色による言葉を語りかけるような演奏で、曲ごとに込められた内面性や、ほの暗い情緒を丁寧に表現されておりました。続いて、ラフマニノフの数ある前奏曲から《前奏曲嬰ハ短調「鐘」》Op.3-2、《13の前奏曲》Op.32より第1番、第3番、第5番、第10番を披露されました。それぞれの曲の魅力が最大限に引き出されており、中でも、音の響きが消える瞬間まで大切にされながら、立体感のある色彩豊かな響きを作り出されていたことは大変印象的でした。
休憩を挟み、後半はショパンの作品です。最初はワルツを2曲披露されました。《華麗なる円舞曲》Op.34-1では、煌びやかな音色とステップを感じる躍動感のある演奏を、《子犬のワルツ》Op.64-1では、子犬が無邪気に駆け回ったり、尻尾を追いかけている姿が浮かぶような可愛らしい演奏を聴かせてくださいました。そして、情熱的でありながらも洗練さと幻想的な美しさをたたえていた《ノクターン第13番ハ短調》Op.48-1、英雄が壮麗に行進しているような《英雄ポロネーズ》Op.53と続き、最後は《ピアノソナタ第2番「葬送」》Op.35を演奏されました。楽章ごとに形式感や音楽の意図が明確に表現されながらも、作品全体を通して一つの物語を辿っているように臨場感のある演奏を展開され、盛大な拍手が贈られました。
アンコールのプーランク《即興曲第15番「エディット・ピアフを讃えて」》では、メランコリックでしっとりとした演奏を披露してくださいました。魅力的なプログラムと作品に対する真摯な姿勢と深い愛情が伝わる演奏を披露してくださり、素敵な演奏会となりました。
(K.S.)
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