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原嶋 唯 ピアノリサイタル 開催レポート
《 桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズ Vol.37 》
2017年11月15日(水) 開場18:30 開演 19:00
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
桐朋学園音楽大学の在籍生が出演するコンサートシリーズに、原嶋唯さんが出演されました。現在、同大学大学院音楽研究科1年に在籍し、今年開催された『Shigeru Kawai国際ピアノコンクール』『日本音楽コンクール』において、3位を受賞されています。この日取り上げたのは、ハイドン、ブラームス、スクリャービン、モーツァルトにシューベルトの5名の作曲家。「多様なジャンル、作曲家の魅力を伝えられたら」というご自身の気持ちを反映させたプログラムです。
まずは、ハイドンの《ソナタHob.XVI:40》。ハイドンらしい軽快なフレーズを現代ピアノの重さを感じさせず、鮮やかに弾ききりました。
ブラームスは《6つの小品》より第1・2・3・6番を披露。旋律の持つ音の美しさを大切に演奏されていた第2番が特に印象的に残ります。
前半最後は、今回初挑戦だったというスクリャービン《ソナタ第4番》。霧の中に潜む音をひとつひとつ探るような冒頭は魅惑的な響きです。第2楽章はそれまでの繊細さから大きく変化し、白熱した演奏を聴かせました。
休憩を挟んで演奏された2曲は、この夏に取り組んだという作品。モーツァルト〈「われら愚かな民が思うには」による10の変奏曲〉は、チャーミングな1曲です。変奏をダイナミックに演奏し、表情の移り変わりを楽しめました。
最後はシューベルト《ソナタ第19番》。真っ直ぐな音で弾かれた決然とした出だしが、ドラマ性に富んだ音楽の始まりを予感させます。散りばめられたカンタービレは情感豊かに歌い、起伏に富んだ演奏を聴かせました。
アンコールはドビュッシー《鏡》より〈道化師の朝の歌〉。さまざまなレパートリーで、しなやかな音楽性に魅せられたコンサートでした。
(R.K.)
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