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蓑田 莉奈ランチタイムコンサート 開催レポート
東京藝術大学ランチタイムコンサート2017 in 表参道〜
<大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノリサイタル vol.14>
2017年10月11日(水) 12:00〜12:45(11:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 〈東京芸術大学大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノリサイタル〉14回目の10月11日は蓑田莉奈さんのご登場でした。

 まずはリスト作曲『スペイン狂詩曲』を、各所に散りばめられた難所を安定感のある力強いタッチで演奏されました。エネルギッシュにホール全体を響かせ、音楽の広がり方にも迫りくるものがありました。

 次にバッハ作曲『幻想曲とフーガ ハ短調 BWV906』、最後にシューベルト作曲『さすらい人幻想曲 ハ長調』を披露されました。作品名に『幻想曲とフーガ』とあるもののフーガは未完のため演奏されることが少ないそうですが、幻想曲は分散和音による動機が非常に印象的であり、構造がしっかりと感じ取れる、整った演奏でした。

 『さすらい人幻想曲』は作曲者が崇拝していたというベートーヴェンのソナタの影響が感じられる曲です。4楽章からなるこの曲は切れ目なく演奏されるため単一楽章のようであり、後世の作曲家に影響を与えたと説明をしてくださいました。この曲は蓑田さんにとって、今までのレパートリーにはない選曲だそうで、新たな特別な思いがあったようです。第2楽章では感傷的な「さすらい人」の旋律を繊細に表現され、リストの華々しい演奏とは異なる新たな一面がうかがえました。

 アンコールにはブラームス作曲『6つの小品 Op.118』より第2番「間奏曲」を演奏されました。プログラム全体を通して印象的だったのは、蓑田さんのバイタリティあふれる演奏でした。広い音域にわたる激しいパッセージが続く場面であっても衰えることのないパワー、揺るぎない低音部に支えられて鳴り響く上声部の華やかで立体的な音響に圧倒されました。これからの益々のご活躍が楽しみです。素敵な演奏をありがとうございました。

(W.T)

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