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日本音コン第1位受賞の入江 一雄氏 と ドイツ・ハンブルクを中心に活躍する 児嶋顕一郎氏。
入江 一雄 & 児嶋 顕一郎 ピアノDUOリサイタル 開催レポート
〜名門ヴィルサラーゼ門下の 2人 のピアニストが初の豪華共演!!〜
《東京 公演 》 ♪カワイ表参道 03-5485-8511
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」 (渋谷区神宮前5-1)
2017年9月14日(木)19:00開演
本日は新進気鋭のピアニスト入江一雄さんと児嶋顕一郎さんによる、ピアノ・デュオのリサイタルが催されました。お2人は各々別の留学先で研鑽を積んでいらっしゃいましたが、共通の師をきっかけに北イタリアで出会い、デュオを組むに至ったとのこと。出会ったのは昨年とのことですが、お2人の演奏にはもっと以前から音楽によるコミュニケーションを続けていたのではないかという意気投合ぶりが窺えました。そして特筆すべきなのはお2人の音楽の引き出しの多さです。これからご紹介する本日のリサイタルの演目も、様々な時代背景や曲想を持つ楽曲から成っていますが、お2人は各々の楽曲に合った音楽的表現を選び、1つずつの作品の聴きどころを最大限に引き出していらっしゃいました。最初に演奏されたのは、シューベルトが晩年に残した連弾による《幻想曲》ヘ短調。大きなソナタ形式の単一楽章でありながら、4つの別の表情を持つ楽曲とも捉えられる、内容の濃い作品です。お2人は敢えて華美な表現を抑制した音楽創りで、シューベルトの音楽に溢れる気品を体現されていました。次の演目は連弾曲としては人気の高い、ラヴェルの《マ・メール・ロワ》。子供用の楽曲とされながらもウィットに富んだ和声やリズムが詰まった作品ですが、お2人は先ほどのシューベルトとは違う、時に優しく時に鋭いタッチでそれらを際立たせていました。そして前半の最後に演奏されたのは、ポーランドの作曲家ルトスワフスキによる《パガニーニの主題による変奏曲》でした。パガニーニの主題は技巧的な作品を書こうとする作曲家達にはとても人気な音楽素材で、この主題による変奏曲も多数存在していますが、その中でも20世紀半ばに出来たこのルトスワフスキの版は、アグレッシブな音響と技術的な難所に満ちています。しかしながらお2人は、卓越した技術と力強い和音の響かせ方によって、この作品を見事に弾きこなし、会場からは大きな拍手があがりました。
後半の最初に登場したのは、フランスの現代音楽作曲家の代表格メシアンによる《アーメンの幻影》第1曲・第5曲。この《アーメンの幻影》は20世紀2台ピアノ作品の名作かつ難曲の1つとして挙げられますが、水平軸・垂直軸ともに音符が精巧に並べられ、神秘的な雰囲気を帯びています。お2人は非常にクリアな音色を用いて、この楽曲のモティーフの1つずつを立体的に組み立てていらっしゃいました。そしてプログラムの最後として演奏されたのはラフマニノフ《組曲》第2番。先ほどのメシアンとは一転してロマンティクな雰囲気や華やかな曲想が前面に出る作品ですが、お2人は重厚な音響と情熱的な表現でこの作品の持つ空気を演出されていました。特に終曲〈タランテラ〉ではお2人の技術の素晴らしさも一段と際立ち、客席からは感嘆の声があがっていました。
アンコールはお馴染みのチャイコフスキー《くるみ割人形》から〈金平糖の踊り〉と〈花のワルツ〉。連弾・2台ピアノの面白さを存分に味わえた演奏会でした。
(A.T.)
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