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谷口 若菜ランチタイムコンサート 開催レポート
東京藝術大学ランチタイムコンサート2017 in 表参道〜
<大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノリサイタル vol.9>
2017年8月3日(木) 12:00〜12:45(11:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
全17回にわたる東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノリサイタルの第9回目は、谷口若菜さんのみずみずしい演奏がとても印象的でした。演奏の合間に谷口さんがそれぞれの作品の解釈を説明したこともあって、作曲者の意図に迫る緻密な表現を、十分に汲み取ることができる演奏会でした。この心踊るような若々しいコンサートは、モーツァルトの《グルック「愚民が思うには」による10の変奏曲 ト長調 K.455》で爽やかに始まりました。粒の揃った音や丁寧な強弱によって、古典派という枠組みを超えない配慮が行き渡っていた端正な演奏でした。続いて、ショパンの《バラード第3番 変イ長調Op.47》では、演奏者の考える「観客に届けたい旋律」がくっきりと形をもち、演奏者と観客の距離が近づいたような気持ちになりました。
最後はシューベルトの《幻想曲 ハ長調 D760 「さすらい人幻想曲」》。「作曲家の性格がよく表れている作品」と谷口さんが強調したように、熱い高揚感の中にも広がる余剰を感じさせる入魂の演奏で表現していました。アンコールはショパンの《子守歌 変ニ長調 Op.57》で、穏やかな響きとともに美しく締めくくりました。
(M.S)
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