トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2017年 > 三木香代&森知英ピアノデュオの夕べVol.3 > 開催レポート

三木 香代 & 森 知英 ピアノデュオの夕べVol.3 開催レポート
〜RUSSIAN NIGHT〜
2017年7月28日(金) 19:00開演 18:30開場
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 本日は日本ショパン協会に属する2人の女性ピアニスト、三木香代さんと森知英さんによる、19世紀〜20世紀前半を生きたロシア出身の作曲家達を採り上げたデュオ・リサイタルが開催されました。この時代のロシアからは、ロマン主義の流れを汲みつつ独自の表現方法を展開した作曲家達が多く輩出され、2台ピアノの分野でも多くの美しい作品が残されています。三木さんと森さんのデュオ演奏は、繊細で滑らかな音運びと、楽曲の構成をよく捉えた立体的な音楽創りが特色で、本日採り上げられた2台ピアノ作品のような技巧的かつロマンチックな楽曲には大変合っていました。

 最初に演奏されたのは、スクリャービンの《2台ピアノのための幻想曲》。スクリャービンに独特の夢幻的なハーモニーの中で、様々な雰囲気やテンポ感を持つ音楽要素が次々と現れる作品ですが、お2人は各々の曲想を巧みに捉えて演奏されていました。

 次に演奏されたのは、アレンスキー作曲の組曲《シルエット》。アレンスキーの作品にはロマンチックで旋律の美しいものが大変多くなっていますが、この《シルエット》も決して例外ではなく、「学者」「コケットな女性」「道化役者」「夢見る人」「踊り子」という各々のキャラクターを体現した各曲は、懐古的でロマンチックな美しさに溢れています。お2人の繊細な音色は、このアレンスキーの作品が持つ美しさにぴったりで、とりわけワルツの中で表情がくるくると変わる第2曲<コケットな女>と、華やかでリズミカルな<踊り子>は印象的でした。会場もお2人の織りなす世界に惹きこまれているようで、会場からは大きな拍手がありました。

 休憩明けに演奏されたのは、オーケストラ曲として多くの方が耳にしていると思われる、ボロディンの<韃靼人の踊りと合唱>。これはもともとボロディンの未完のオペラ《イーゴリ公》に含まれていたもので、オペラ中に出てくるポロヴェツ(韃靼)のオリエンタルな表現が特徴的な作品です。お2人の演奏は、オーケストラで表現されているエキゾティックな音色や、激しく情熱的な合唱の部分と軽やかでユーモラスな踊りの部分とのコントラストを、見事に表現されていました。

 そしてプログラムの最後となったのは、日本でも人気のある作曲家ラフマニノフの《組曲》第2番。ラフマニノフはピアニストとしても秀逸であったこともあり、彼の作品は美しいながらも技巧的に難しい曲がたくさんあり、この《組曲》も非常な美しさの影に技術的な難所が多々あります。しかしながらお2人は華麗な音裁きで、2台ピアノだからこそ可能な重厚かつ繊細な音楽の世界を見事に創り上げていらっしゃいました。アンコールには、やはりロシアの輩出した名作曲家、チャイコフスキーの<花のワルツ>。初めから終わりまで2台ピアノの美しい世界を堪能できた、素晴らしいコンサートでした。

(A.T.)

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2017年 > 三木香代&森知英ピアノデュオの夕べVol.3 > 開催レポート