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2016年 ピティナ・ピアノコンペティション特級入賞者コンサート
開催レポート
出演 尾崎 未空・太田 糸音・三好 朝香
2017年7月11日(火) 開場 18:30 開演 19:00
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 7月11日パウゼにて、2016年度のピティナ・ピアノコンペティションの特級(最上級)で見事入賞された尾崎未空さん(グランプリ受賞)、太田糸音さん(銀賞・聴衆賞受賞)、三好朝香さん(銅賞受賞)によるコンサートが開催されました。会場には非常にたくさんのお客様が集まりました。

 最初に登場されたのは三好さん。プロコフィエフ《ピアノソナタ第3番イ短調》Op.28でのシャープで勢いのある演奏で始まりました。2曲目のショパン《3つのマズルカ》Op.50では、舞曲のリズムや間合いが生かされながらも、独特の和声や転調を美しく表現されておりました。3曲目のスクリャービン《幻想曲 ロ短調》Op.28では、楽器を豊かに鳴らされ、波がうねるように滑らかでスケールの大きな演奏を展開されました。最後のカプースチン《8つの演奏会用エチュード》より〈フィナーレ〉では、洒落た表現による白熱した演奏を聴かせてくださり華やかに締めくくられました。

 続いて太田さんの演奏です。最初のバッハ《平均律クラヴィーア曲集第2巻 第23番 ロ長調》BWV892では、音の動き方や和声の表情の変化、アーティキュレーションなどを細やかに表現され、曲本来の特徴を忠実に再現されているような演奏でした。次は、スクリャービン《ピアノソナタ第4番 嬰ヘ長調》Op.30と《ピアノソナタ第5番 嬰ヘ長調》Op.53を続けて披露され、それぞれの作風の違いを巧みに表現されておりました。中でも、空間に自然と溶け込んでいくような音色と響きの立体感のある幻想的な美しさはとりわけ印象的で、これらのソナタの魅力を存分に感じられました。

 最後は尾崎さんの登場です。曲目は同時代に活躍したショパンとリストの作品で構成されておりました。まずはリストの作品を2曲。1曲目の《バラード第2番 ロ短調》では、物語性の感じられるダイナミックな演奏を聴かせてくださいました。2曲目はシューベルトの歌曲の編曲作品である《白鳥の歌より〈愛の便り〉》。温かみのある音色で歌の息づかいを鮮明に表現されておりました。最後はショパン《アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ》Op.22です。ふんわりと立ち昇るような音色で詩を紡ぐように始まり、気高さと輝きに満ちた表現が大変美しかったです。

 皆様のハイレベルな熱演は大変素晴らしく、それぞれにブラボーの歓声と共に力強い拍手が贈られるほどでした。最後にお三方が登場され、ピティナへの思いや、演奏家としての意気込みなどをお話しされました。皆様のさらなるご活躍を期待しております。

(K.S.)

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