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中島 英寿 ピアノリサイタル 開催レポート
《 桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズ Vol.35 》
2017年
6月14日(水) 開場18:30 開演 19:00
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 本日は桐朋学園表参道サロンコンサートシリーズの一環として、4年生に在学中の中島英寿さんによるピアノリサイタルが開催されました。既に数々のコンクールや演奏会で実績を重ねている中島さんは、落ち着いた物腰でステージに登場され、演奏中は笑みを浮かべることも。そんな中島さんの勇姿を見ようと、平日の開催にもかかわらず多くの方が来場されていました。

 中島さんの演奏は、男性ピアニストらしい力強い音運びと、明快な音色が特徴的でした。前半はベートーヴェンの《創作主題による6つの変奏》とバッハの《パルティータ》第6番という古典を並べたプログラムでしたが、いずれも中島さんの音色に大変合う作品でした。ベートーヴェンの変奏曲は、それ以前の世代の作曲家によって創られた変奏曲よりも、転調や技巧が施された大胆なものとなっていましたが、中島さんはあたかも6つの変奏が1つの物語になっているかのように、作品をダイナミックにまとめていらっしゃいました。続くバッハの《パルティータ》は様々な音楽スタイルが一挙に集まったバロック時代の大作ですが、中島さんは1つずつの楽曲の拍子感や曲想をよく捉えるとともに、それらを明確に表現されていました。とりわけ長大なフーガと厳かな序奏と後奏を伴う第1曲<トッカータ>では、中島さんのこの作品に対する情熱を感じました。

 後半は前半とは一転して、19世紀〜20世紀初頭すなわちロマン主義時代〜近代をメインとしたプログラムでした。最初にドビュッシーの《前奏曲第1巻》より<帆>で、近代的な音の世界にお客様を誘った後には、ショパンの大作である《バラード》第2番を披露。技術的な難所がいくつもある楽曲ですが、中島さんは非常に迫力のある音楽創りで会場の空気を支配していました。続くラフマニノフの《絵画的小品》もまた、中島さんの音色に大変合っていました。そしてプログラムの最後となったのはショパンと並んでピアニストにとって大切なレパートリーを多く残したリストの〈ダンテを読んで〉(《巡礼の年第2年》より)。高度な技術と音楽全体を構築する力の両方が求められるリストの大作を、中島さんは持前の迫力、明快な音色、さらには絶妙な間をもって、見事に仕上げていらっしぃました。会場はしばし拍手が鳴りやまない状態となり、中島さんはアンコールにとショパンのヘ長調とニ短調の前奏曲を演奏されました。

 今回のリサイタルでは、パウゼの常連であるお客様や先生方はもちろんのこと、音楽を勉強中の若い方の姿も多く会場に見られました。本日の中島さんの演奏が、音楽界を担ってゆく方々の励みになったであろうと思われる、大変充実したリサイタルでした。

(A.T.)

  

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