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日下知奈 室内楽シリーズ ベートーヴェン+(ぷらす) 全5回
第4回ベートーヴェン+シューベルト 開催レポート
共演Vn/久保田 巧(桐朋学園大学准教授)
2017年 4月6日(木) 開場18:30 開演19:00
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
桜の美しく咲き誇る4月初旬、ピアニスト日下知奈さんによる室内楽シリーズ「ベートーヴェン+(ぷらす)」が開催されました。第4回目となる今回は、「ベートーヴェン+シューベルト」というプログラム。共演に久保田巧さんを迎えて、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第2番・第10番と、シューベルトの《華麗なるロンド ロ短調》D 895が演奏されました。ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第2番は、作品12の3曲(第1〜3番)のなかで最初に作曲されたと考えられている曲です。一方、第10番はベートーヴェン最後のヴァイオリンソナタで、第9番(「クロイツェル」)から約10年後の1812年に手掛けられたもの。つまり今回の演奏会では、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタの最初の曲と最後の曲が取り上げられており、その様式変化をも楽しむことのできる粋な構成となっていました。
プログラム全体を通して、洗練されたピアノとヴァイオリンの掛け合いが非常に印象的で、おふたりが奏でる2つの楽器の生きいきとした対話はデュオの魅力を改めて感じさせてくれるものでした。とくにベートーヴェンのソナタ第2番の第1楽章では、休符の瞬間の緊張感とその後によどみなく続く音楽の流れが非常に心地よかったです。また、シューベルトのロンド冒頭では、付点のリズムで力強く和音を奏でるピアノに続いてヴァイオリンが一気に音階を駆け上がり、瞬く間に聴く者の心を掴んでいくようでした。さらに、3曲目のベートーヴェン・ソナタ第10番の第4楽章では、安定したピアノの和音の上でヴァイオリンがのびやかに歌われており、その響きの豊かさは圧巻でした。
アンコールには、リヒャルト・ホイベルガーのオペレッタ《オペラ舞踏会》より〈真夜中の鐘〉(クライスラー編曲)と、シューベルトの《ソナチネ ト短調》D 408より第4楽章が演奏されました。とくに前者のロマンティックでお洒落な雰囲気は、満席の会場を幸福感でいっぱいに満たしていくようでした。シリーズ最終回となる第5回「ベートーヴェン+ストラヴィンスキー」は、2017年12月5日に予定されているそうですので、こちらも楽しみにしています。
(Y. T.)
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