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藝大NORDIC−北欧のピアノ音楽
<東京藝術大学ピアノ科教員シリーズvol.8>
2017年1月19日(木) 19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

秋場 敬浩

菅野 雅紀

安武 亮

本山 乃弘

 二日間にわたって『藝大NORDIC』コンサートが開催されました。“北欧のピアノ作品”をテーマに、藝大で講師経験を持つピアニストによる演奏会です。第2夜の出演者は秋場敬浩さん、菅野雅紀さん、安武亮さん、本山乃弘さんの4名。珍しい作品・作曲家が集められた、興味深いプログラムです。

 まずは秋場さんによる演奏です。“北欧文化圏”であるエストニア出身のエッレルとその弟子、トゥビンの作品を取り上げました。冒頭は静かに、徐々にいくつもの鐘が鳴り響く様がダイナミックに表現されたエッレルの〈鐘〉。トゥビンの《3つの前奏曲》と〈マルト・サールの主題によるバラード〉では、ピアノ作品ながら管弦楽的な厚みや奥行きが感じられる演奏でした。

 菅野さんはメンデルスゾーン、シューマンなどと親交を結んだデンマークの作曲家、ゲーゼの《水彩画》を披露。ロマン派の雰囲気をまとった、美しくさわやかな演奏です。シベリウス《樹木の組曲》より〈樅の木〉では、静謐で寂しげな旋律で題材を描写しながらも、あたたかな印象も与えました。

 藝大で3年間学んだフィンランド出身、ノルドグレン作品《小泉八雲の「怪談」によるバラード》より〈耳なし芳一〉は安武さんによる演奏です。難解なリズムに乗せ、ピアノで琵琶の音色を表現しながら物語の世界を追う、面白い作品です。シベリウス《5つのロマンティックな小品》は、旋律、和声ともに豊かな作品。終曲〈ロマンティックな情景〉では、静かに移り行く時の経過を思わせる演奏が構成する曲のなかでも白眉でした。

 プログラム最後もシベリウス、本山乃弘さんによる《ピアノソナタ》です。本山さんがシベリウスをプログラムに入れたのは今回が初めてとのこと。オーケストラ作品が書かれた時期と重複しているからか、骨太な作品です。時折顔を出す民族調な部分がとても楽しげで、エネルギーあふれる音楽でした。

(R.K.)

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