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藝大NORDIC−グリーグの夕べ 開催レポート
<東京藝術大学ピアノ科教員シリーズvol.7>
2017年1月18日(水) 19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

東浦 亜希子

稲生 亜沙紀

坂本 真由美

 本日は東京藝術大学で教鞭を取られる/これから教鞭を取ることとなるピアニスト3名による、北欧の音楽をテーマとした演奏会シリーズの1日目でした。この1日目のテーマとなったのは、劇付随音楽《ペール・ギュント》等の名作でお馴染みの、ノルウェー出身の作曲家グリーグ。グリーグの作品は美しく覚えやすい旋律が特徴的です。作品の中には厳しい冬からくる春への憧れを想わせる、北欧ならではの哀愁的な雰囲気を持つものもあり、それが多くの聴き手の心を掴んできました。本日演奏された東浦亜希子さん、稲生亜沙紀さん、坂本真由美さんもそんなグリーグの作品に魅せられて、本日の演奏会に臨んだそうです。

 前半はそれぞれのピアニストによるソロ演奏。最初に登場された東浦さんが演奏されたのは、《自作の歌曲によるピアノ曲集》作品52で、もともとは歌曲だったものをグリーグ自身がピアノに編曲したもの。《ペール・ギュント》の中の最も有名な曲の1つ〈ソルヴェイグの歌〉も、この中に含まれています。東浦さんはそれぞれの歌曲の旋律に込められた感情や雰囲気をよく捉えながらも、ピアノ編曲ならではの立体感ある音楽創りをされていました。第1曲〈母の嘆き〉からその哀愁漂う雰囲気に、会場はすっと静まり返りました。次に登場された稲生さんは《ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード》を演奏。稲生さんはずっとこの作品に憧れていたとトークで語っていらっしゃいましたが、その想いが切に伝わってくるような、1つずつの音を磨いた演奏でした。その繊細な表現からは稲生さんの技術の高さも窺わせました。前半の最後に登場された坂本さんは、弦楽合奏版でも有名な組曲〈ホルベアの時代〉を演奏。坂本さんの演奏はとてもダイナミックで、ピアノ1台でありながらたくさんの楽器の音が聴こえてくるような華麗さと表情の豊かさがありました。演奏が終わった際には感嘆の声もあがりました。

 後半は3名のピアニストが交替でピアノの前に座っての、連弾を中心としたプログラムでした。まずは音楽愛好者なら誰もが耳にしたことがあると思われる組曲版《ペール・ギュント》の第一組曲。〈朝〉〈オーセの死〉〈アニトラの踊り〉での繊細な表情も見事でしたが、〈山の魔王の宮殿にて〉では4手ならではの迫力も堪能できました。そして演奏会の最後を飾ったのは《トロルハウゲンの婚礼の日》は慎ましやかでありながら幸福感に溢れた旋律とハーモニーが、特徴的な作品。最後の最後までグリーグの音楽の美しさを存分に味わうことの出来た、大変素敵なコンサートでした。(A. T.)

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