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伊舟城 歩生 & 兒玉 千沙子 ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.36 》
2016年
12月7日(水) 18:30開場 19:00開演
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 《東京音楽大学 表参道 サロンコンサート》のVol.36は、同大学ピアノ演奏家コースの1年生に在学中の伊舟城歩生(いばらき・あゆむ)さんと、同じピアノ演奏家コースから同大大学院2年生に在学中の兒玉千沙子(こだま・ちさこ)さんのジョイントリサイタルです。既に数々のコンクールやオーディション等で活躍している二人の若きピアニストのフレッシュな演奏に注目です。

 前半は伊舟城歩生さん。最初の曲目は、ブラームスの「幻想曲集 作品116」です。第1番:哀愁と熱いエネルギー。力みのない豊かな和音の響きがとても美しかったです。第2番:たまらない寂寥感。若くしてこの落ち着き。第3番:強い焦燥感。やるせない気持ちになりました。第4番:淡い、優しい心。薄いベールをかぶったような繊細な音色。第5番:秘め事、問いかけ。想像力を掻き立てられます。第6番:憩い、静かな境地。繊細な陶磁器のような音色。第7番:激しさ、乱れる心。ドラマティック。以上全7曲、各曲ガラリと変わる場面転換、コントラストが見事でした。

 続いては、ラフマニノフの歌曲をアメリカのピアニスト、アール・ワイルドがピアノ独奏用に編曲したという、珍しい曲目です。「6つの歌 作品4より、3. 夜の静けさに」:ロマンティック、感動 的な映画のよう。「12の歌 作品21より、12. 何という苦しさ」:指先の微妙なタッチの変化が効果的。「14の歌 作品34より、14. ヴォカリーズ」:自然に涙が出てきそうな、そんな 演奏。「12の歌 作品14より、11. 春の洪水」:どんなワイドな音量でも澄んだ響き。素晴らしいセンス、音楽がとても印象的でした。

 後半は兒玉千沙子さん。シューベルトの晩年の傑作「ソナタ第21番 変ロ長調 D960」です。第1楽章:ピュアで繊細、丁寧で慎ましい演奏が素敵です。細部まで気を抜かず細やか。第2楽章:厳しく辛い、人生の黄昏。中間部では心が安らかになるのですが、それも束の間、不穏な思いが頭をよぎります。第3楽章:軽やかで愛らしく茶目っ気も。晩年のシューベルトの境地を思うと、謎めいています。第4楽章:溌剌とした曲調を一瞬にして打ち消し、ドラマティックなエンディングへと突き進む、その激しさ。意表を突く明るい大団円。終局に見えてきたものは何だったのでしょうか? 想像力を刺激する素晴らしい演奏でした。 アンコールは連弾で、ビゼーの「子供の遊び」より最終曲「舞踏会」。プリモが兒玉さん、セコンドが伊舟城さんで、子供たちがはしゃいでいる様子を連想していただけたら、とのことでしたが、弾む曲調、達者で細やか、心躍る楽しい演奏でした。二人の今後が楽しみです。

(H.A.)

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