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日下知奈 室内楽シリーズ ベートーヴェン+(ぷらす) 全5回 開催レポート
第3回ベートーヴェン+ブラームス
共演Vn/ 漆原朝子(東京藝術大学准教授)
2016年 10月21日(金) 開場18:30 開演19:00
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
スタートからちょうど1年が経過した、日下知奈さんの室内楽シリーズ『ベートーヴェン+』。第3回目となる今回は、ヴァイオリニスト・漆原朝子さんとのデュオで、ベートーヴェンとブラームスのヴァイオリンソナタ3曲のプログラムです。“プラス”された作曲家、ブラームスは過去に漆原さんがソナタ全集のCDをリリースされています。まずはベートーヴェンのソナタ第8番です。華やかなアンサンブル、そしてそれとは対照的に特有の激しい部分も現れる第1楽章。第2楽章はおだやかで哀愁に満ち、終楽章“熊のダンス”は楽しげに。深刻な印象を持ちがちのベートーヴェンですが、曲を通じて澄んだ美しさを持つこの作品は、明るく愛らしい演奏でした。
続いて披露されたのは、ブラームスのソナタ第2番です。ヴァイオリンの息の長い旋律、重厚な第3楽章が印象深いものでした。ブラームスの室内楽曲のなかでも旋律的に洗練された作品を、どこか内省的でありながらものびやかに、そして典雅に演奏されていました。
休憩を経て本編最後は、ベートーヴェンのソナタ第7番です。1曲目に演奏された第8番とは反対に、全体的に緊迫感があふれた作品です。途中、第2・3楽章では解決の方向へ導かれるようなところもありますが、最終的には苦悩に押しつぶされてしまいそうな深い音楽です。悲劇的に、情熱的に、内面の葛藤が描き出されていました。
アンコールは2曲。ベートーヴェンとブラームスが過ごしたウィーン生まれの作曲家、クライスラーの小品から、〈ベートーヴェンの主題によるロンディーノ〉と〈美しきロスマリン〉でした。
(R.K.)
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