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東京藝術大学 ランチタイムコンサート2016 in 表参道
<音楽学部1年生によるピアノジョイントリサイタル vol.5>
尾田 奈々帆 & 葛原 寛ランチタイムコンサート 開催レポート
2016年11月30日(水) 12:00〜12:45(11:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
年の瀬も感じられるようになった11月30日、東京藝術大学ランチタイムコンサート2016 in 表参道〈音楽学部1年生によるピアノジョイントリサイタルvol.5〉が開催され、尾田奈々帆さんと葛原寛さんが出演されました。前半は葛原さんによるシューベルト《ピアノソナタ第14番 イ短調 D.786 Op.143》の演奏でした。ユニゾンで静かに始まりながらも内に情熱を含んでいるような音で、これからのドラマティックな場面を予感させるようでした。曲が進むにつれて、段々と激しさが増していきますが、勢いに任せるのではなく、低音の重厚さや、和音の推進力を上手く利用した音の運び方が感じられました。第二楽章では暖炉のような温かみのある音で穏やかな雰囲気に一変しました。ご自身による解説では室内楽的な書法と書かれてましたが、フルートのように澄んだ音や弦楽器のような音色が随所に感じられ、ピアノの多彩な音を通して室内楽を聴いているかのような演奏でした。第三楽章では緊迫感を滲ませながら疾走するかと思えば、歌心溢れる優しさもあり、それらをテンポよく進め、緩急のつけ方が見事な演奏でした。
後半は尾田さんによるショパン《4つのマズルカ Op.41》《舟歌 嬰ヘ長調 Op.60》の演奏でした。マズルカでは性格の異なる4つの舞曲の特徴が表現された生き生きとした演奏でした。優雅さと物憂げさがあり、大人のような艶やかさの感じられる「クヤヴィアク」、充実感のある和音と音の厚みとスタッカートを生かしたステップか楽しい「マズール」、くるくると回る様子が手に取るように分かる素朴で愉快な「オベレク」が次々と出てきて、音を通して踊りを見ているかのような楽しいひと時でした。《舟歌》はまるで心地よい物語であるかのような印象を受けました。静かでありながらも幸福感に満ちた船出から、いくつもの起伏のある波のうねりを過ぎて遠くへ去っていく情景が浮かびあがってくるような演奏でした。
アンコールは連弾でピアソラのリベルタンゴをプリモは尾田さん、セコンドは葛原さんで演奏されました。クラシックから一変し、アクセントの効いたモダンな雰囲気の中、お二人の華麗で洒落の効いた演奏を楽しみました。
これからもご学友の方々と共にさらなる研鑽を積み、素晴らしい演奏を多くの方に届けてくれることを願っております。
(H.M.)
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