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黒田哲平 ピアノリサイタル 開催レポート
《2015年 日本音楽コンクール 入賞者シリーズ》
2016年10月4日(火) 開場18:30 開演19:00
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 本日は、クラシック音楽演奏家の登竜門とも呼ばれる日本音楽コンクールで、高校生にして第2位を受賞された若きピアニスト、黒田哲平さんのピアノリサイタルでした。黒田さんは現在桐朋学園の大学一年生でいらっしゃいますが、舞台に登場されたときもにこやかな表情と堂々たる態度で、既に大人のピアニストとしての風格を湛えていらっしゃいました。

 黒田さんの演奏は、大変緻密な音楽創りと気品漂う音色が印象的で、とりわけ古典的な作品がよく合っていらっしゃいました。前半のプログラムは、バッハのトッカータにベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番。いずれも音と音とが丹念に組み合わされたフーガが見せ場となっており、精度高く聴かせるのは困難な作品ですが、黒田さんは持ち前の音色と音楽創りで、どちらの作品も見事に美しくまとめていらっしゃいました。とりわけバッハのトッカータでは、あたかも即興的に紡ぎ出されるように聴こえる音の線が、次々と絡み合ってゆく様子に、お客さんの集中力も研ぎ澄まされていたように思います。

 後半はピアノリサイタルではおなじみであるショパンの数々の傑作から、《幻想曲》と《スケルツォ》第3番の演奏でした。幻想曲はショパンの作品の中でも長く技術的難所も多い曲ですが、黒田さんは決して気品を損なうことなく優雅に演奏していらっしゃいました。スケルツォは激しく情熱的な部分と軽快な部分とのコントラスト効いた楽曲ですが、黒田さんは美しい指裁きで各々の部分を表情豊かに仕上げていらっしゃいました。最後は日本ではあまり聴く機会に恵まれないヒナステラという20世紀のアルゼンチンの作曲家のピアノ・ソナタ第1番。独特の和声感がある一方で、どこかショパンをはじめとするロマン主義の代表的な作曲家達を彷彿とさせる作品でもあります。黒田さんは華やかな第1楽章や第4楽章はもちろんのこと、神秘的な雰囲気の第2楽章や不気味な緩徐楽章である第3楽章も、非常に音色を創り込んでいらっしゃいました。終演の際には熱演に対する大きな拍手があがり、客席の皆さんが黒田さんのますますの活躍を願っていることが伝わりました。今回のコンサートは平日にもかかわらず補助席が出るほどの満席。今後もこうして若手音楽家がクラシック音楽のコンサートを盛り上げてくださることを期待します。

(A.T.)

 

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