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林 秀光 記念コンサート Vol.4 開催レポート
〜Homage&Gratitude〜
2016年9月21日(水) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 日本の音楽界において、ピアノ演奏・教育の両面で多大な功績を遺された林秀光先生を偲び、門下生により開催されている「林秀光記念コンサート」の第4回。その音楽への情熱を伝え続けたいという願いを込めて、“Homage & Gratitude”と題して、恩師への尊敬の念と感謝の思いを胸に、渾身の演奏が披露されました。

 音楽界を担う、多くの秀でた音楽家が輩出された林秀光先生門下より、今回出演するのは石本えり子さん、有森直樹さん、奈良場恒美さん。ソロやオーケストラとの共演、室内楽などの演奏活動において、そして後進の指導において、幅広い活動を展開している3人のピアニストです。

 まず冒頭は、石本えり子さんによるシューベルトの「さすらい人幻想曲 Op.15 D.760」。確固とした落ち着きをベースに、ハッとするような甘い歌心、しっとりした叙情性が心地よく、優美な音色に魅せられました。

 続いて、有森直樹さん。バッハ=ブゾーニ編の「シャコンヌ」では、重厚なテーマ、祈りを込めた静謐な出だしから、光に満ちあふれる壮大なクライマックスまで、真摯な音楽が素晴らしかったです。そして、ショパンの「即興曲 Op.36」は、抑制の利いた個性的な弾き始めから一気に高揚、そして自己を見つめる内省的な音楽、ロマンティックな音楽へと、見事な場面転換に惹き付けられました。

 コンサートの最後を務めるのは、奈良場恒美さん。ベートーヴェンの「ソナタ第12番 Op.12」では、1曲1曲の変奏曲を丁寧な語り口で紡いだ第1楽章、躍動感にあふれた第2楽章スケルツォ、一転して厳格・荘厳な第3楽章・葬送行進曲、淀みなく流れる明るい第4楽章ロンドと、流石の風格でした。締めはブラームスの「幻想曲集 Op.116」から。第1番ではほの暗さ、吹き荒れる情熱の嵐が、圧倒的な立体感をみせていました。第2番は孤独感、悔いる心でしょうか、果てしなく深い音楽。人生の重みを感じます。第3番はブラームスならではの重厚で雄大な音楽で、素晴らしい迫力。心底、感動しました。アンコールも、同じ「幻想曲集」から第6番。なんて慈愛に満ちた音楽でしょう。淡彩画のような繊細な美しさです。

 林秀光先生の音楽への真摯な思い、情熱が、門下生の皆さんの演奏からひしひしと伝わってくる――そんなコンサートとなりました。

(H.A.)

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