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ファカルティー・コンサート(桐朋学園大学教授陣によるコンサート) 開催レポート
来たるべき音「ロマン派の世界」
〜ピアノ独奏とデュオ、ピアノ三重奏〜
2016年9月9日(金)19:00〜21:00
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

朴 久玲 先生

新井 博江 先生

 

 

武田 美和子 先生、中井 恒仁 先生

藤原 浜雄 先生、練木 繁夫 先生、毛利 伯郎 先生

 

 パウゼにずらりと並べられた椅子が開演10分前からほとんど埋まり、開演前に空席を探すお客様がいらっしゃるほどの盛況の中、本日のコンサートは始まりました。最初に演奏されたのは朴久玲先生。今後リサイタルでも取り上げられるという、スクリャービンの初期の傑作《24の前奏曲》から、前半14曲を演奏されました。第2曲イ短調や第6曲ロ短調などの緩やかな曲では、スクリャービン独特の、あまり息長くなく、刹那に消えていってしまうような旋律が、先生の手の内から自在に紡ぎだされていくようでした。一方、作曲者のもっていたであろう高い技術を要する、速度のある激する曲も、先生は技巧の伴う連符や跳躍を弛みなく奏でられながら、豊かな表現をもって演奏されていました。

 次に、新井博江先生が、ブラームスの《8つの小品》を演奏されました。題名に鑑みると、〈奇想曲〉と〈間奏曲〉という二種のみから成り立っている曲集ですが、それぞれの曲が、たとえ同じ題名を持っていても性格が異なっており、ブラームスの霊感の充実ぶりを感じさせる曲集です。新井先生は、力強いフォルテと緊張感あるピアノを巧みに使い分け、「ブラームス様式」とも言える緻密にして濃密な音世界を繰り広げられていました。とりわけ、迫りくる分厚い音の奔流を感じさせる、熱情的な第5曲〈奇想曲〉が、印象に残りました。

 休憩を挟んで後半はアンサンブルの楽曲が演奏されました。まずは中井恒仁先生&武田美和子先生の定番のペアによるリスト《「ドン・ジョバンニ」の回想》。モーツァルトの親しみやすいメロディーが二台のピアノでかけあい、巧みに橋渡しされ、トゥッティさながら同時に奏でられ、同時にリストならではの超絶技巧が繰り広げられる曲です。中井先生と武田先生の超絶技巧や、息が合うさまはもはや言うまでもないでしょう。

 最後に演奏されたのはメンデルスゾーンの《ピアノ三重奏曲 第2番 ハ短調》です。ピアノは練木繁夫先生、ヴァイオリンは藤原浜雄先生、チェロは毛利伯郎先生の編成で、円熟味ある素晴らしいトリオを聴かせてくださいました。どこか抑制したような表情を持つ第一楽章、歌うような、しかし沈思に浸るような第二楽章、疾走するかのように息もつかせない第三楽章、熱情的に旋律が歌われる第四楽章。すべての音楽を通して、会場は息を呑むような緊張感に包まれていました。ハ長調の和音が奏でられて全曲が終結すると、終演まで満員のお客様の、割れんばかりの拍手で会場が包まれました。

 「ロマン派の世界」を題材としたコンサート。しかしその「ロマン派」の中でも曲調は多彩だということがわかりました。お客さまにとっても、桐朋学園大学教授陣の素晴らしい演奏とともに、ロマン派の幅広い魅力が味わえる一夜だったのではないでしょうか。

(A.Y)

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