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EXCITING ENSEMBLE 第6回
〜若手音楽家育成応援プロジェクト 第6回〜 開催レポート
音楽監督/金木 博幸 (東京フィルハーモニー交響楽団首席チェリスト)
出演:金木 博幸(チェロ)、川田 知子(ゲスト・ヴァイオリン)
大伏 啓太(ピアノ)、大石 亜紀(ピアノ)、正住 真智子(ピアノ)
2016年6月24日(金) 19:00開演 18:30開場
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
若手音楽家の育成に力を注ぐ、東京フィルハーモニー交響楽団首席チェリストの金木博幸さんが音楽監督を務める室内楽シリーズ『EXCITING ENSEMBLE』。今回は大伏啓太さん、大石亜紀さん、正住真智子さんの3名の若手ピアニスト、ゲストにヴァイオリニストの川田知子さんを迎えて開催されました。まずは、金木さんと正住さんによるドビュッシーのチェロソナタ。決然とした曲の始まり、第2楽章ではピチカートなどさまざまな弦の奏法が駆使されるなど、ピアノ作品とはひと味違うドビュッシーの前衛的な世界を聴かせます。
フォーレの室内楽作品のなかで、とくに親しまれているヴァイオリンソナタ第1番は、川田さんと大伏さんによる演奏です。みずみずしくほっとする第1楽章、ヴァイオリンによる機敏なアルコとピチカートの組み合せや、付点のリズムでの盛り上がりなど、さまざまな表情で楽しませてくれました。
今回は「地方で活動する若手にもスポットを当てたい」という金木さんの思いがあり、メンデルスゾーンのピアノトリオ第1番では、熊本に拠点を置く大石さんが出演。各パートが複雑に絡み合う情熱的な作品を、活気にあふれながらも自然な流れの音楽を提示しました。
後半は、男性ふたりによるベートーヴェンのチェロソナタ第5番でスタート。勢いのあるピアノで始まり、華やかなイメージがある第1楽章とは対照的な、豊かで抒情的なアダージョが記憶に残る演奏でした。
最後は正住さん、川田さんと金木さんによるブラームスのピアノトリオ第1番です。ピアノ、チェロ、ヴァイオリンの順で加わり演奏されるひとつのテーマ。異なる楽器が曲全体でなだらかに溶け合い、室内楽の本質が伝わるようでした。
パートごとの役割を明確に持ち、互いの音を聴きながらひとつの作品を創り上げる。これは少人数編成の室内楽でこそ、体験できることです。最前線で活躍する金木さんと川田さん、そして若手による演奏は、ときに観客ひとりひとりに直接語り掛けるような密なものでした。
(R.K.)
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