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井伏 晏佳 & 近藤 愛花 ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.34 》
2016年
6月15日(水) 18:30開場 19:00開演
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 本日は東京音楽大学に在籍する2人の期待のピアニスト、井伏晏佳さんと近藤愛花さんによるジョイントリサイタルでした。会場には音大で教鞭をとられる先生方から、現在音楽大学で研鑽を積んでいらっしゃる若い方々まで、幅広い世代のお客様が集まりました。井伏さんはモーツァルト、スクリャービン、プロコフィエフと時代や音楽観にかなり隔たりのある3人の作曲家を採り上げ、ピアノという楽器の様々な一面を見せてくださいました。一方の近藤さんは、ピアノの技巧的な作品を多く残したラヴェル、ショパン、リスト、シューマンを採り上げ、ピアノ技術の可能性を最大限に見せてくだしました。

 井伏さんの演奏は、低音の迫力をきかせた豊かな音響や、堅実な音楽創りが印象的でした。特に音の層が厚く神秘的な響きの多いスクリャービンは、井伏さんの音にとても合っていました。そして、可愛らしい音型の多いモーツァルトのソナタでピアノ全く違う表情を見せた後、プロコフィエフの〈絶望〉および〈悪魔的暗示〉で再び迫力いっぱいの演奏を聴かせてくださいました。特にプロコフィエフの〈悪魔的暗示〉は技巧的な難所も多い楽曲ですが、井伏さんは安定した技術で弾きこなしていらっしゃり、会場からは大きな拍手が贈られました。

 後半の近藤さんの演奏は、いつ何時も表情豊かな、活き活きとした音楽創りが魅力的でした。冒頭からラヴェルの作品の中でも最も難しいピアノ曲と言われている≪夜のガスパール≫から〈オンディーヌ(水の精)〉を演奏されましたが、ふくよかに広がっては収束する音の波が、タイトルの「水の精」を大変よく表していました。続くショパン、リストはどちらも練習曲集からの抜粋でしたが、練習曲を演奏しているとは思えない表現力に、会場も心地よい緊張感に包まれていました。最後はシューマンの大作≪クライスレリアーナ≫。非常に長い上、シューマンの小品集に特徴的な曲同士の連携と相違を巧みに表現しなければならない楽曲ですが、近藤さんはいずれの曲もその特徴をよく捉えて演奏されており、会場からは感嘆の声も聞こえました。

 最後はお2人の連弾でのアンコール〈剣の舞〉。お2人の今後のご活躍を願う大きな拍手で幕を閉じた、大変素晴らし演奏会でした。

(A.T.)

  

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