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五十嵐 薫子 ピアノリサイタル 開催レポート
《2014年 日本音楽コンクール 入賞者シリーズ》
2016年6月7日(火) 開場18:30 開演19:00
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
紫陽花の美しく咲き誇る6月初旬、五十嵐薫子さんのピアノ・リサイタルが開催されました。《2014年日本音楽コンクール入賞者シリーズ》のひとつとして行われた今回の演奏会では、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスのソナタ3曲が取り上げられました。1曲目は、モーツァルトの《ピアノ・ソナタ第11番 イ長調》「トルコ行進曲付」。この曲が作曲された当時、ウィーンではトルコ風の音楽が流行しており、このソナタの第3楽章にもそれが取り入れられています。五十嵐さんの演奏は、特に第2楽章で旋律をとても丁寧に歌わせていたのが印象的でした。
2曲目は、ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調》「ワルトシュタイン」。細かいパッセージを繊細に奏するpp部分と、ダイナミックに音楽が展開するff部分の対比が巧みに表現されており、第1楽章では特に左手での低音がよく効いていました。第2楽章から第3楽章へのアタッカでの移行も美しく、力強いタッチが曲の最後に向けての疾走感を作り出していました。
3曲目は、ブラームスの《ピアノ・ソナタ第3番》。重厚な和音の連続で構成される冒頭のフレーズで、一瞬にして会場の人々の心をつかんでいくようでした。第2楽章では、高音を透明感のある音色で優しく歌い奏で、第3楽章では音の芯をとらえた豊かな響きを聴かせました。第5楽章では、拍を刻むリズム音型がぶれることなく安定して音楽を前に進めるなか、雄弁に歌うメロディが印象的。クライマックスに向けてのたたみかけるようなパッセージの連続も圧巻でした。
会場いっぱいのお客様から温かい拍手が送られ、和やかな雰囲気のなかで演奏会は閉じられました。五十嵐さんは、11月の《2015年日本音楽コンクール入賞者シリーズ》にも出演される予定ということですので、こちらも楽しみにしたいと思います。
(Y. T.)
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