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東京藝術大学 ランチタイムコンサート2016 in 表参道
<大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノリサイタル vol.12>
大崎 由貴 ランチタイムコンサート 開催レポート
2016年9月13日(火) 12:00〜12:45(11:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
「東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノリサイタル」の12回目は、広島市出身の大崎由貴さんの登場。大崎さんは、東京藝術大学をアカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア賞、同声会賞を受賞して卒業し、この春、同大大学院に入学しました。この10月からは、宗次徳二海外留学支援奨学金を得て、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学修士課程に留学する予定だそうです。この日、白い清楚なドレスで登場した大崎さんが最初に演奏したのは、ショパンの「舟唄嬰ヘ長調Op.60」。ドレス同様に清楚な感じで始まりました。そして、演奏後のトークで「この曲はヴェネツィアの水路を波に揺られながら舟が行く様子や、船頭さんが舟を漕ぎながら堂々と歌っている様子などが浮かぶ曲」と語ったように、運河を行くゴンドラに揺られてたゆたう様子がよく表現されていました。
2曲目はブラームスの「6つの小品Op.118」。トークでは、ブラームスとこの「6つの小品」について語りました。大崎さんはこの曲が大好きで、この曲に接していると、ブラームスがこの曲に込めたであろういろいろな感情が、曲の中から沸き上がってくるような気がするそうです。
演奏では、6曲それぞれから、切ない思いや自分の気持ちをどこかにぶつけているような感じ、落ち着いた情感等々が感じられました。最後は自分の気持ちを修めるように静かに終わりました。
最後の曲は、スペインの作曲家アルベニスの「イベリア」第2巻から『トゥリアーナ』です。この「イベリア」は、スペイン・アンダルシア地方の風景や風俗を印象主義的に描いた12曲からなる曲集で、3曲ずつ全4巻に分けて出版されました。この曲はその第2巻の3曲目、通しで6曲目に当たります。因みに『トゥリアーナ』は、セヴィーリヤの町外れにある地名です。
大崎さんはこの手の交差の多い技巧的に難しい曲を、スペイン情緒を漂わせた見事な演奏で聴かせてくれました。
万雷の拍手に応えてのアンコールは、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」の第2楽章ワルツのピアノ独奏版を演奏しました。これは大崎さんの恩師であるピアニストの角野 裕氏がピアノ・ソロ用に見事に編曲したもの。その魅力を充分に引き出した演奏で、再び大きな拍手に包まれて演奏会は終了しました。
(K.Y.)
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