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斎藤 龍 ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.37 》
2016年2月5日(金) 18:30開場 19:00開演
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 《東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.37》は若手ピアニスト、斎藤 龍さんのピアノリサイタルです。斎藤さんは東京藝術大学大学院を修了後、チューリッヒ芸術大学大学院のコンサートディプロム、さらにはソリストディプロムを修了。オーケストラとの共演や室内楽、国内外でのリサイタル等で活躍中ですが、中でも2011〜13年に東京でベートーヴェンのピアノ・ソナタの全曲演奏を成し遂げたのは記憶に新しいところです。

 今宵のリサイタルもオール・ベートーヴェン。テーマは「ベートーヴェンの変奏とC」。ベートーヴェンの変奏の多様な面白さと、最もベートーヴェンらしい調性、ハ長調&ハ短調のキャラクターの面白さに迫ります。

 まず1曲目、「ロンド ハ長調 作品51-1」。ロンドのテーマを繰り返す中で、少しずつ変奏が加えられていきます。そのテーマはとても素朴で、無邪気な雰囲気。しかもハ長調という飾り気のない、いわば原点の調性。ここに、様々な技巧で変奏が施されることで、メロディーもリズムも調性も色彩豊かに、生き生きと変化を遂げるのでした。

 2曲目は、「創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO 80」です。しびれるほど格好のいい8小節のテーマ。真のハ短調ここにあり!ですね。次から次へと繰り出される、至高の変奏曲の技、緊張感。真剣勝負の演奏を聴くと、身も心もビシッと引き締まります。ベートーヴェンのストレートな魂の叫び。真っ直ぐで、気高くて、何て素晴らしいのだろうと、いつも思います。

 休憩ののち、リサイタルの後半は「ディアベリのワルツによる33の変容 ハ長調 作品120」。演奏時間1時間という、ベートーヴェン晩年の大作です。テンポも楽想も、テーマの原型が見えなくなるほどの変容ぶりであることから、「変奏」とは名付けず、「変容」としたと思われるのだそうです(斎藤さんによる曲目解説より)。すさまじいですね!

 ハ長調のテーマが溌剌と、堂々と奏され、長大な“変容のドラマ”の始まりです。そして、ありとあらゆる高度な技巧を駆使して、時にシンプルに、時に大音響で、空間を支配していく。テーマの片鱗が刻み込まれてはいるのですが、とてつもなくスケールが大きくなっていき、その変容の激しさは、目を見張るばかりでした。

 斎藤さんは、中間部あたりからでしょうか、まさに音楽と一体となっていました。その躍動感の素晴らしさ。複雑な暗号を解読していくようにスリリングな、渾身の演奏でした。

 興奮冷めやらぬ中、アンコールは、「7つのバガテル 作品33」より第2番。快活で明るい、ハ長調です。

 ベートーヴェンのライフワークとも言える、変奏の世界。聴きごたえ満点でした。またぜひ斎藤 龍さんのベートーヴェンを聴きたいです!

(H.A.)

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