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日本ショパン協会 第271回例会
多胡光夏 ピアノリサイタル 開催レポート
《日本ショパン協会パウゼシリーズ Vol.27》
2015年12月12日(土) 18時30分開演
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
12月の中でも穏やかな天候に恵まれ、「日本ショパン協会 第271回パウゼシリーズVol.27 多胡光夏 ピアノリサイタル」が開催されました。モーツアルトの生地ザルツブルクで学ばれ、日本とヨーロッパで活動されている多胡さんによるモーツアルトとショパンに焦点を当てたプログラムです。
前半はモーツアルトの作品を演奏されました。《ロンドニ長調》を演奏会が始まる期待感に満ち溢れた輝かしい音色で飾りました。一変して切々と美しい悲しみを歌い上げる《幻想曲ニ短調》、対話のように音が交差する生き生きとした《ソナタト長調》まで純粋さの中にも気品の溢れる演奏を楽しみました。前半の最後は《デュポールの主題による9つの変奏曲》をピアノの魅力を存分に生かした演奏で飾られました。表現力の豊かさとピアノを奏でる喜びの伝わってくる心温まる演奏でした。
続く後半はショパンのバラードを全曲演奏されました。
1番は力強いユニゾンから一気にショパンの世界へと引き込みました。繊細でありながら芯の強さを感じされる音色で、情熱のほとばしる演奏でした。
2番は心地よく揺れる小舟のようなアンダンティーノと燃えつく炎のようなコン・フォーコと、二つの音の情景の対話が見事でした。
幻想的な色使いと渦巻く水の精霊が織りなす情感豊かな3番と、人生の終わりに紡がれた諦めとそれに抗う力強い4番。ショパンという一人の作曲家を通して、多胡さんの感じた美しい景色や深い考えが伝わってくるような演奏でした。
アンコールでは同じくショパンの黒鍵エチュードで華やかさを、ワルツ遺作では安らぎの感じられる音色で会場を温かく包み、充実した演奏会を終えられました。
多胡さんの更なるご活躍をお祈りするとともに、多くのお客様へ演奏を届けられることを心より願っております。
(H.M.)
表参道のクリスマスイルミネーション
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