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菅原 望 & 山中歩夢 ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.35 》
2015年12月11日(金) 18:30開場 19:00開演
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
本日は東京芸術大学大学院を修了された新進ピアニスト、菅原望さんと山中歩夢さんによるジョイントリサイタルが開催されました。お二人は偶然にも、現在共にハンガリーのリスト・フェレンツ音楽大学(リスト音楽院)にご留学中とのこと。プログラムにもハンガリーの作曲家、リストとバルトークの作品が多く並びました。一人目の演奏者は菅原さんです。最初のバッハ《ソナタ ニ長調 BWV963》では、モダン・ピアノの特性を生かし、多彩な音色の幅やペダルの効果を巧みに取り入れた美しい表現がみられました。バルトークの《15のハンガリー農民の歌Sz.71》では、独特の抑揚やルバートを多用した思いきりの良い演奏を披露。白眉はリストの《ハンガリー狂詩曲第12番 嬰ハ短調》で、とりわけ終盤のstretta vivaceでのパッションの噴出は特筆すべきものでした。
後半の山中さんはリストの作品ばかりを6曲取り上げられました。リストのピアノ曲といえば華やかなヴィルトゥオーゾ・ピースばかりが思い浮かべられがちですが、《コンソレーション》を最初と最後に配した山中さんのプログラムは、そうした安易なイメージを覆すものでした。ヘーローとレアンドロスの神話と結びつけられることもある《バラード第2番 ロ短調》では、物語性を感じさせるドラマティックな展開が見事に表現されていました。つづいて《詩的で宗教的な調べ》より第6曲〈眠りから覚めた子どもへの賛歌〉・第7曲〈葬送〉が内省的に演奏され、最後は甘美な《コンソレーション第3番》で夢のように美しく締めくくられました。
全曲目の終了後、菅原さんと山中さんがステージに再登場され、会場のお客様に一言ずつご挨拶。締めには山中さんが有名な《愛の夢第3番》を披露され、客席からは二人の若いアーティストに向けて温かい拍手が送られました。
(N.J.)
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