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片山 柊 ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.32 》
2015年
12月9日(水) 18:30開場 19:00開演
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 《東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.32》は、同大ピアノ演奏家コース・エクセレンス1年に在学中の片山 柊(しゅう)さんのリサイタルです。コンクールで、演奏会で、既に活躍を重ねている片山さん。今宵のリサイタルは、一風変わったプログラムで構成しました。

 最初の曲は、ハイドンのソナタ第58番ハ長調 Hob.XVI:48, Op.89。気品の高い変奏曲風の第1楽章、明るく軽やかな第2楽章で、快調なスタートです。

 続いて、ラヴェルの「ハイドンの名によるメヌエット」。古典の香りが馥郁と漂うメヌエット。瀟洒でさりげないところが魅力でした。

 前半最後の曲は、同じくラヴェルの大作「クープランの墓」。1曲目・前奏曲では、やや抑えたテンポが古風な風情を際立たせていました。2曲目・フーガは簡素な単音の戯れ。一音一音の粒立ちが、水滴のような瑞々しさでした。3曲目・フォルラーヌは、抑制された表現が意味深。

 4曲目・リゴドンでこの日初めて、フォルテの音量で演奏されたような印象を受けました。やたらに音量を出さずに、あくまで繊細な感覚を追求する。若手の中で珍しいと思いました。5曲目・メヌエットの高貴な様。そしてラスト6曲目・トッカータで、高雅なクライマックスを迎えました。

 後半のプログラムはかなり個性的です。抑制された細やかな表現を追い求めるその姿勢が、随所に感じられました。

 まずモンポウの「風景」。1曲目〈泉と鐘〉は、霧が立ちこめたようにぼやけた、幻想的な風情。2曲目〈湖〉はとても美しく、中間部に突然やって来る先鋭的な驚き。3曲目〈ガリシアの馬車〉は忍び寄る不安、懐疑心。音の移ろいが極めてデリケートでした。

 コダーイの「クロード・ドビュッシーの主題のよる瞑想曲」は、低音域での歌の合間に、中〜高音域の短い音型が揺らめく様。次第にオーケストラによる交響詩のようなダイナミックな音楽となり、ドビュッシーの「海」を彷彿とさせました。

 最後の曲は、アルベニスの「イベリア 第1集」。1曲目〈喚起〉は哀愁とどこかに漂う懐かしさ。2曲目〈港〉は陽気で朗らか、普段着の音楽。3曲目〈セヴィーリャの聖体祭〉は、雄大なクライマックスがドラマティックでした。

 アンコールはJehan ALAINの“Choral Dorien”。静けさを追求する、一つの挑戦とも言える楽曲。片山さんならではです。

 細やかな表現を追い求める若きピアニスト、片山 柊さんにこれからも注目です。

(H.A)

 

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