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田中正也プロコフィエフピアノ曲全曲演奏シリーズ
“エクスクールスィャ”最終章vol.1
田中正也 プロコフィエフの「戦争と平和」 開催レポート
2015年11月13日(金) 18:30開場 18:45プレトーク 19:00開演
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 プロコフィエフは名前こそ知られていても、“人気”とは言い難い作曲家。ピアニストであり、ピアノの名曲も多く遺していますが、独特な和声や打楽器的な扱いに苦手意識を覚える人も多いかもしれません。

 そんなプロコフィエフ作品の普及に力を注ぎ、2008年よりピアノ作品の全曲演奏に取り組んでいるのが田中正也さんです。プロコフィエフをテーマとしたレクチャーコンサートやリサイタルを定期的に行い、没後60年にあたる2013年には、モスクワで開催されたメモリアルコンサートにも招聘されています。

 開演に先立ち開かれたプレトークでは、「作曲家自体、あまりなじみがないかもしれませんが、そのプロコフィエフ作品の中でも特になじみのない曲ばかりがプログラムになっています」と笑いを誘いました。

 まずは《3つのオレンジへの恋》。もともとオペラとして作曲したものを、自らがピアノ曲として編曲したもので、6曲の中から有名な第3曲〈行進曲〉と、第4曲〈スケルツォ〉が披露されました。

 《6つのピアノ曲》Op.52はバレエ音楽や、弦楽四重奏用に書かれた曲などが組み込まれています。踊り、オーケストラ的な側面など、さまざまなプロコフィエフが楽しめる作品でした。

 プログラムのハイライトは円熟期に書かれたソナタ第8番《戦争》。深い瞑想のような第1楽章、抒情的で淡い夢の中にいるような第2楽章、終楽章は音が頭にストレートに響いてきて目が覚めるような演奏でした。プロコフィエフ作品の印象として抱きがちな不協和音の連続、聴きにくいという印象だけではなく、抒情的なメロディー、初めて触れた作品でも記憶に残るような美しいメロディーが聴かれました。

「自分がどれだけ正しく演奏したとしても、間違って聴こえるようなときもあります。“心地よい音楽”だけで終わらないところが、またプロコフィエフの魅力」と語った田中さん。アンコールには初期に書かれた作品、《10の小品》より〈ハープ〉を演奏し、締めくくりに安らぎをもたらせました。

(R.K.)

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