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日下知奈 室内楽シリーズ ベートーヴェン+(ぷらす) 全5回 開催レポート
第1回ベートーヴェン+シューマン
共演 Vn/日下紗矢子(ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団第1コンサートマスター)
2015年10月30日(金) 開場18:30 開演19:00
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
「私の演奏活動の中心にあるのは、いつもアンサンブルでした」と話すのは、ピアニストの日下知奈さん。藝大で弦楽科の伴奏助手や室内楽の指導にあたるなかで、アンサンブルの魅力をこれまで以上に感じたといい、2017年秋にかけて5回にわたる室内楽シリーズをスタートさせました。もともと小さな集まりで“娯楽のための音楽”とされた、室内楽作品。現代では大ホールで演奏されるようなプログラムも、このシリーズではあえて本来の意味に立ち返り、奏者と観客がより近くに感じられるような空間をと、パウゼを選んだそうです。
プログラムは毎回ヴァイオリニストを迎え、ベートーヴェン“プラス”異なる作曲家で構成されます。シリーズの初回は、デュオの原点でもある妹の日下紗矢子さんとの共演です。
まずは主軸であるベートーヴェンのソナタ第1番と第3番を。そして休憩を挟んでの後半は、今回“プラス”された作曲家、シューマンのソナタ第2番です。シューマンはベートーヴェンを尊敬し、傾倒していました。ふたりの作曲家の作品で、異なる世界へと導いてくれる充実のプログラムです。
確かなテクニック、豊かな表現力。どの音にも芯と実があり、構築性のある音楽を聴かせました。共演回数も多く、最も身近な共演者といえるふたりですが、その理由以上に、演奏家としてお互いが尊敬の念を持っていることが感じられる演奏でした。
アンコールにはシューマン(アウアー編)の〈献呈〉、そしてチェコ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスター、ヨゼフ・シュパチェクを迎える、シリーズ第2回(来年3月に開催)への伏線として、ドヴォルザークの《ロマンティックな小品》より第1曲が演奏されました。
姉妹でパウゼに再登場するのは、2017年秋に予定されているシリーズ最終回。2年後の演奏会にも期待が膨らみます。
(R.K.)
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