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高橋 優介 ピアノリサイタル 開催レポート
《 表参道ランチタイムコンサート シリーズ Vol.1》 〜上野学園大学〜
2015年10月21日(水)12:00開演 11:30開場
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
本日のランチタイムコンサートは、若手ピアニストの高橋優介さんによるリサイタルでした。高橋さんはまだ大学4年生。本日は大学関係のお客様も大変多かったようで、温かい拍手に迎えられてのご登場でした。コンサートの合間には高橋さん自身による曲目解説も入り、高橋さんのユニークなお話ぶりに、会場は時折笑いに包まれていました。
トークの時には終始笑顔の高橋さんですが、ひとたびピアノに向かうと、あっという間にその曲の世界に入ってゆきます。最初はベートーヴェンの通称≪月光ソナタ≫。有名な1楽章やアグレッシブな3楽章も素敵でしたが、2楽章の軽やかながらも少し哀愁漂う音色が、作品の魅力をよく引き出していらっしゃいました。その次は一転してショパンの≪舟歌≫。瑞々しい音色やセンスのある間の使い方で、ショパンの洒落た雰囲気を表していらっしゃいました。前半のクライマックスになったのはリストの≪ハンガリー狂詩曲≫第2番。この作品は当時ジプシー達がよく演奏していた曲をリストが民謡だと勘違いして作ったと言われていますが、そのポピュラーな曲想は今でも多くの人に親しまれています。超絶技巧のピアニストとして有名だったリストの作品に、高橋さんはトークで「難しい」と苦笑いされていましたが、いざ演奏を始めると見事な技術で躍動感のある演奏を聴かせてくださいました。
華やかなリストの後は一転してチャイコフスキーの〈秋の歌〉(《四季》より)。メランコリックな旋律が美しく、秋にぴったりなプログラムでした。そして最後のプログラムとなったのはラヴェルの《ラ・ヴァルス》。オーケストラの作品としても知られるこの曲は、高橋さん自身も「遊園地にいるみたい」と仰っていた通り、様々な音楽のパーツが次から次へと現れます。高橋さんはそれらのパーツを見事に弾きこなして高い技術を見せただけではなく、細かい装飾では音楽に大切な遊び心も表してくださいました。
アンコールはリストの《愛の夢》、ドビュッシーの《月の光》と名曲が並んだ後に、最後は近年人気となったジャズ風のリズムが粋なカプースチンの前奏曲が入り、最後まで楽しさに溢れたコンサートでした。
(A. T.)
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