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鈴村真貴子ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.33 》
2015年10月16日(金) 18:30開場 19:00開演
会場：カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
たくさんのお客様で埋め尽くされた会場に、秋らしいブラウンのドレスで登場された鈴村さん。最初に演奏されたのは、モーツァルト≪デュポールのメヌエットによる９の変奏曲 ニ長調≫KV.573です。宝石をちりばめたような輝きのある音色で曲の表情を細やかに表現されておりました。続いてシューベルト≪ピアノ・ソナタ 第4番 イ短調≫では、ピアノの持つ硬質で澄んだ音色が効果的に活かされつつも、シューベルトならではの歌曲的な旋律の美しさが表現された爽やかな演奏でした。また、音の陰影がはっきりとしており、立体的で深みのある響きを作り出されていたことも印象的でした。前半最後はドビュッシー≪版画≫です。＜塔＞、＜グラナダの夕べ＞、＜雨の庭＞の3曲ともに、多彩な表情の音色があらゆる方向から聴こえ、それぞれの曲が持つ香りや空気を肌で感じているような臨場感のある演奏は素晴らしかったです。
後半はいよいよプーランクの作品です。まず≪3つのノヴェレッテ≫で、プーランク独特の音世界に誘います。繊細で愛らしい旋律が素敵な第1曲、軽快で洒落たリズムの第2曲、哀愁と気品が漂う第3曲それぞれに丁寧なアプローチが輝いておりました。続く≪テーマ・ヴァリエ≫では、プーランクのエッセンスが凝縮されたような演奏を展開され、大変興味深く聴かせていただきました。そして、リサイタルの締めくくりは組曲≪ナポリ≫です。カンツォーネを聴いているような＜舟歌＞に始まり、＜夜想曲＞では、幻想的で夢心地な演奏を、終曲の＜イタリア奇想曲＞では、陽気で華やかな演奏を披露され、客席から割れんばかりの拍手が贈られました。
鳴り止まない拍手に応え、アンコールに即興曲第12番≪シューベルトを讃えて≫を演奏してくださり、さらに客席を沸かせました。プーランクへの温かな愛情に溢れた素敵なリサイタルにお客様も満足そうに会場を後にされておりました。
(K.S)
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