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西原瑠一 ピアノリサイタル 開催レポート 
《2014年 日本音楽コンクール 入賞者シリーズ》
2015年10月2日(金) 開場18:30 開演19:00
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 日本音楽コンクールの入賞者をご紹介するリサイタル・シリーズ。今回は、第83回(2014年)日本音楽コンクールの第3位に入賞した西原瑠一さんの登場です。西原さんはスペイン・バルセロナ生まれで、現在は桐朋学園大学3年に在学中。伸び盛りの若きピアニストに注目が集まります。

 冒頭はシリアスに、バッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」より、第8番 変ホ短調 BWV853。思索に耽るようなプレリュードは、深刻な思いを独白するかのよう。静かに始まったフーガは少しずつ厚みを増し、熱を帯び、劇的な盛り上がりをみせました。

2曲目はシューマンの「幻想曲 ハ長調 作品17」です。儚い夢、やるせない思い、激情、甘い思い出……様々な音楽が行き交う第1楽章。溌剌とした第2楽章は、シューマンならではの付点のリズムがどこまでも続き、最高のパフォーマンスとなりました。一転して内省的な第3楽章では、心の奥底の思いが静かに語られますが、曲の終結部では高らかに、伸びやかに和音が鳴り響き、これ以上ない感動的なクライマックスとなって幕を閉じました。

 休憩をはさんでリサイタル後半。リストの「超絶技巧練習曲集」から2曲です。第8番 ハ短調「死霊の軍勢」は勇壮な大スペクタクル。神話の世界が臨場感をもって見事なテクニックで表現されました。第11番 変ニ長調「夕べの調べ」は絢爛豪華な音の渦。ハープを思わせるような調べが高揚感をもって輝きました。

 ラストは、プロコフィエフのピアノ・ソナタ第8番 変ロ長調 作品84「戦争ソナタ」。退廃的でスリリング、残酷なくらい美しい第1楽章。グロテスクな和音がどこか滑稽でユニークな、皮肉たっぷりの第2楽章。痛快な冒険活劇のような第3楽章は、優美さと野卑なテイストの同居が面白く、迫力満点でした。

 アンコールは2曲。ドビュッシーの「前奏曲集第2集」より第5番「ヒースの茂る荒れ地」でしっとりと響きの美しさを印象づけ、ショパンの「エチュード 作品25」より第10番 ロ短調で素晴らしい連続オクターヴのテクニックと、中間部で類い希な感動的な歌を聴かせました。思わず引き込まれました!

 渾身の演奏を聴かせてくださった西原瑠一さん。これからの活躍が楽しみです。

(H.A.)

 

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