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ニュー・アーティスト シリーズ2015 in表参道
リード 希亜奈 & 佐野 主聞 イブニングコンサート 開催レポート
2015年9月18日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 ニューアーティストシリーズの一環として開催されました今晩のコンサートでは、若手ピアニストのリード希亜奈さんと佐野主聞さんが出演されました。お2人とも国内外のコンサートやコンクールで実績を積んでいらっしゃる、今後のご活躍が大変楽しみなアーティストです。

 先に登場されましたリードさんの演奏は、力強く明快な音色が印象的でした。特に、中盤で演奏された《エフゲニー・オネーギンによる演奏会用パラフレーズ》では、そのエネルギーに溢れた音楽創りが活きていたように思います。この作品はチャイコフスキーのオペラ《エフゲニー・オネーギン》の名場面をダイジェストしたものですが、登場人物達のドラマのクライマックスを飾る舞踏会の情景が浮かんでくるようでした。

 後半に登場されました佐野さんの演奏は、一音一音にまで心の行き届いた繊細な音色創りが魅力でした。ドビュッシーの《版画》では、様々な音色を駆使してそれぞれの曲の世界観を表現していらっしゃいました。特に第2曲〈グラナダの夕べ〉では、ドビュッシーの書いた和音から湧き出る、情熱に溢れながらも神秘的な音楽を見事に伝えていらっしゃいました。

 そして今回のプログラムで特徴的だったのが、なんとお2人とも終盤のプログラムが同じくショパンのソナタ第3番であったことです。しかしながら同じ作品でありながら、お2人の作品から感じることの出来た音楽は対照的なものでした。リードさんは持前のエネルギーに溢れた演奏で、第1楽章から迫力のある音楽を展開してゆきました。そして終楽章の情熱に溢れた演奏では、会場を惹き込んでよい緊張感を生み出していました。それに対して佐野さんの演奏は、第1楽章から終楽章までが一つのストーリーになったような演奏で、むしろ第2楽章から第3楽章にかけて張りつめられた空気が第4楽章で一気に開放されるような印象でした。こうした全体構成はもちろんのこと、各フレーズのニュアンス創りやペダルの処理といった細かい表現も見事で、特に第3楽章の音色の美しさは秀逸でした。

 アンコールはお2人ともショパンで、リードさんはワルツを艶やかに、佐野さんはノクターンを繊細に聴かせてくださいました。ピアノの様々な表情を一晩で知ることの出来た、大変素敵なコンサートでした。

(A. T.)

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