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有森博&長瀬賢弘ピアノデュオシリーズ 開催レポート
ロシア秘選集 Vol.3 「祭」
2015年7月29日(水) 19:00開演
出演:有森 博(ピアノ) 長瀬賢弘(ピアノ)
賛助出演/永野雅晴(打楽器) 井上仁美(打楽器)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 日は、国内外でご活躍されている2人のピアニスト有森博さんと長瀬賢弘さんによるデュオリサイタルが開催されました。プログラムは「祭」をテーマに4手用の楽曲を集めたもの。後半のプログラムでは打楽器も入るということで、パウゼのステージ上には2台のピアノと数々の打楽器が並べられました。師弟関係でもあり、ともにモスクワで研鑽を積まれた同志でもあるお2人が2台のピアノ、あるいは4つの手でどんな化学反応を起こすのか、それを楽しみに平日の開催にも関わらずたくさんの方が集まりました。

 最初は〈剣の舞〉等の作品で知られるアルメニアの作曲家ハチャトゥリアンによる《2台のピアノのための3つの小品》。お2人は冒頭から2台のピアノのボリュームを活かした音響を生み出し、会場を惹き込んでいらっしゃいました。もともとは映画のために書かれたというこの作品ですが、お2人の表現豊かなピアノの音からは、色々な情景や物語を想像することが出来ました。

 次に演奏されたのは、やはりソヴィエト時代のロシアの作曲家として有名なショスタコーヴィチが書いた《2台ピアノのための組曲》。この作品は第1楽章で提示した主題を第3楽章・第4楽章にも活かした大変興味深い構成を持っていますが、お2人はその構成を演奏にも巧みに反映し、立体的な音の世界を創り上げていらっしゃいました。2台ピアノの演奏では各ピアニストの個性が目立ち、各パートが違う音質に聴こえることもしばしばですが、お2人はよい意味で互いの個性を溶け合わせて、1つの大きな音楽へと昇華していらっしゃいました。

 前半の最後は2台ピアノの中でも演奏される機会の多い、アルメニア出身の作曲家アルチュニアン/ババシャニアン共作《アルメニア狂詩曲》。前の2作品での哀愁漂う雰囲気とは一転して、お2人は会場に晴れやかな空気を吹き込んでいらっしゃいました。

  

 後半では、お2人が前半の黒い衣装から赤にお色直ししての再登場。まずは、ジャズの作風を活かしたクラシックの作曲家として有名なカプースチンの《シンフォニエッタ》を演奏して、会場を盛り上げました。ジャズのリズム感がとてもよく表れた演奏で、終楽章の後にはブラボーの声もあがりました。

 最後の2作品は打楽器の井上仁美さんと永野雅晴さんをお迎えしての演奏でした。まずはショスタコーヴィチの弟子にあたるオークネフの《祝祭のネヴァ川》。打楽器の音色が鮮やかな作品で、特に第2楽章〈眺望〉での、鐘の音を想わせるビブラフォンは印象的でした。有森さん・長瀬さんの豊かなピアノの表情に加えて、打楽器の様々な音色が加わって、お客さんはさらに音楽の世界に惹き込まれた様相でした。そして演奏会のラストを飾ったのは先ほども登場しましたアルチュニアン/ババシャニアンのコンビによる《祭》(2台ピアノと打楽器のための)でした。4人の演奏家による熱烈で華やかな音楽の世界に、会場からも熱烈な拍手が贈られました。

 そんな拍手にお応えして、アンコールはなんと3曲も!最初はピアノのお2人だけによるラフマニノフの《ヴォカリーズ》、次は打楽器のお2人を交えての〈金平糖〉(バレエ《くるみ割り人形》から)、そして最後は会場も大変盛り上がった《剣の舞》でした。「祭」という題にふさわしく、音楽で私達に「夏の夢」を与えてくれたような、大変素敵なコンサートでした。

(A.T.)

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