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クロイツァー記念会 第39回例会
クロイツァー賞受賞者による演奏会 開催レポート
2015年7月8日(水) 開演:午後7時00分(開場:午後6時30分)
会場:東京オペラシティリサイタルホール
7月8日、『クロイツァー賞受賞者による演奏会』が東京オペラシティのリサイタルホールにて開催されました。故レオニード・クロイツァー教授の功績を讃えて制定された本賞は、東京藝術大学、国立音楽大学、武蔵野音楽大学の各大学院修士課程を特に優れた成績で修了された方に贈られます。今年度の受賞者は、奥村奈々さん(武蔵野音楽大学大学院修士課程ヴィルトゥオーソコース首席修了)、大澤里紗さん(国立音楽大学大学院修士課程首席修了)、崎谷明弘さん(東京藝術大学大学院修士課程首席修了、同博士後期課程在籍)です。客席で多くのお客様が見守る中、最初に演奏されたのは奥村さんです。シマノフスキ《変奏曲 変ロ短調》作品3とデュティユー《ピアノ・ソナタ》を披露されました。ピアノを豊かに鳴らし、非常にしなやかで安定感のある演奏でした。和声の美しさが最大限に表現されていたことと、細部にまで考え抜かれた綿密な音楽創りがとりわけ印象的でした。
続いて登場されたのは大澤さん。シューマン《フモレスケ 変ロ長調》作品20を演奏されました。輝きのある美しい音色で、作品の持つ表情を丁寧に描き出されておりました。この作品は、あらゆる感情が交錯し、めまぐるしく変化しますが、その様子を抜群の表現力で巧みに表現されており、手に汗を握るような聴き応えのある演奏でした。
演奏会の取りを飾ったのは崎谷さんです。グラナドス《ゴイェスカス》より〈エル・ペレーレ(わら人形)〉の鮮やかな演奏で始まり、スクリャービン《ピアノ・ソナタ第9番》作品68〈黒ミサ〉では、身の毛がよだつような不気味な世界を表現。チャイコフスキー《ドゥムカ ハ短調》作品59とリスト《ハンガリー狂詩曲第12番 嬰ハ短調》では、民俗色と躍動感が感じられました。いずれも、崎谷さんの全身から音楽が溢れ出るような演奏で、各作品の世界観を見事に表現されておりました。
最後に、熱い演奏を繰り広げられたお三方へ客席から盛大な拍手が贈られました。終演後、ロビーには多くの方々が集い、出演者との歓談に花を咲かせておりました。今後の更なるご活躍を期待しております。
(K.S)
左から、崎谷明弘さん、奥村奈々さん、大澤里紗さん、植田克己先生(クロイツァー記念会会長)
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