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田中あかね ピアノリサイタル 開催レポート
〜ボンの町から Vol.8 変奏曲〜
2015年5月15日(金) 19:00開演 18:30開場
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 本日は、これまでもここパウゼでコンサートを重ねてこられました、ピアニスト田中あかねさんによるリサイタルでした。田中さんはドイツで長らく研鑽を積んでこられたということで、プログラムはドイツやオーストリアの作曲家が中心となりました。今回はその中でも古典的な作品にしばしば用いられました「変奏」に焦点を当て、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ブラームスそれぞれの変奏曲を披露していらっしゃいました。トークの中でも、コンサートにはきちんとその日の「テーマ」を持たせたいと語っていらした田中さん。自ら執筆されたプログラムノートからも、その音楽に対する真摯な姿勢が伺えました。

 田中さんの演奏の魅力は、とても明快な音色にあり、ドイツ・オーストリア生まれの堅固な音楽を表現するのにピッタリでした。最初に演奏されたモーツァルトのピアノ・ソナタ(トルコ行進曲付)は、第1楽章がゆったりしたテンポの変奏曲であることもあって、しばしば柔和で繊細な演奏を耳にしますが、田中さんのモーツァルトは繊細さの中にも雄々しい力強さを感じました。その力強いタッチは次のベートーヴェン作曲〈エロイカ変奏曲〉に受け継がれ、当時のウィーンで脈打っていた音楽のエネルギーを感じました。

 後半の最初は、19世紀ロマン主義の代表的な作曲家と呼ばれるシューマンが書いた《アベッグ変奏曲》シューマンは音楽家を志したばかりの時期にこの作品を書いて以来、変奏曲というジャンルを残すことはありませんでしたが、この曲には後の彼のユニークな作品の数々を彷彿とさせるものがあります。田中さんはこの若きシューマンの変奏曲を、溢れそうなほど豊かな表情で演奏していらっしゃり、自身でも「きっとシューマンの音楽はこの変奏曲という枠には収まりきらなかったのでは」と語っていらっしゃいました。

 最後の演目はブラームスの〈ヘンデルの主題による変奏曲〉。ブラームスは、周囲の同時代の作曲家達が次々と革新的なジャンルを開拓する中、古典的なジャンルの作品にこだわり続けたと言われています。西洋音楽の要である「バスのパート」を執拗なほど強調したこの作品は、田中さんの明快な音色にとても合っており、終演後は大きな拍手があがりました。変奏曲の魅力を多いに味わった、とても楽しいコンサートでした。

(A. T.)

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