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白川多紀 ピアノリサイタル開催レポート
2015年4月18日(土) 14 時開演 13時半開場
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
春らしい陽気に包まれた中で、「白川多紀ピアノリサイタル 〜春に寄す〜」が開催されました。桐朋学園大学を卒業後、ジュネーヴをはじめ世界各地での演奏 活動と共に、桐朋学園附属子供のための音楽教室にて後進の指導に当たられている白川さんのリサイタルに、大勢のお客様が足を運ばれました。
プログラムの前半はラヴェルとグリーグの2人の作曲家による小品曲を演奏されました。
ラヴェルの作品は「亡き王女のためのパヴァーヌ」「優雅で感傷的なワルツ」と軽やかな踊りの曲が続きました。ステップが分かるようにペダルを抑えながらも、豊かで透明感のある響きが魅力的な演奏でした。
グリーグの作品は「抒情小品集」より選曲されました。歌心あふれる「アリエッタ」に始まり、「愛の調べ」「トロルドハウゲンの婚礼の日」などグリーグの幸 せな家庭を感じさせるような、幸福感に満ちた演奏で会場を温かく包み込みました。特にこのリサイタルの題名にもある「春に寄す」では氷が解けて小川となっ て流れる様子と共に春となったことへの喜びが一際感じられました。
後 半は雰囲気を変えてシューマンの作品から「ピアノソナタ第1番」を演奏されました。若いシューマンがいかに熱意と情熱をもってこの曲を書いたのか伝わって くるような演奏で、めまぐるしく移り変わる主題を丁寧に弾き分け、立体感のある第1楽章から威厳あふれドラマティックな第4楽章まで、とても充実した演奏 でした。はっきりとしたタッチを軸に頂点へたたみかけるような勢いのある演奏に思わず引き込まれてしまいました。
情熱あふれる演奏の最後にアンコールとしてリストの「ラ・カンパネラ」を演奏されました。いろいろな鐘の響きを聴衆と心を一つに楽しみながらこのリサイタルを終えられました。
白川さんの透明感のある繊細で豊かな音の世界を堪能した春のひと時でした。
(M.H.)
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