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宮下朋樹&宮下彩子デュオリサイタル 開催レポート
〜ピアノ連弾の名曲を集めて〜
《東京公演》
2015年3月4日(水) 開場18:30 開演 19:00
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
《カワイサロンコンサート in 表参道 No.547》は、宮下朋樹さんと宮下彩子さん、ご夫妻によるピアノ・デュオリサイタルです。桐朋学園大学を卒業し、同大研究科を修了したお二人。朋樹さんはドイツとオーストリアで学び、彩子さんはフランスで学び、様々なコンクール入賞を経て演奏活動を展開。今は関西に拠点を移して、後進を指導しながら活動されています。今宵のテーマは、「ピアノ連弾の名曲を集めて」。朋樹さんによる楽しい解説を交えながら、和やかな雰囲気の中、連弾の名曲の数々が演奏されました。実は彩子さんは、数年来体調を崩され、このリサイタルが久しぶりの公開演奏であるとのこと。悦ばしい復帰の舞台に、ほのぼのとした連弾曲はとてもよく合っていました。
連弾曲の世界といえばまず、“家庭的な雰囲気の作品”と“舞曲を題材にした作品”とがある――ということから、プログラムの前半は前者で、後半は後者でまとめられていました。
前半最初の曲は、プリモ:彩子さん、セコンド:朋樹さんで、フォーレの「ドリー」作品56・6つのピアノ連弾曲。フォーレが親しくしていたバルダック家の少女の愛称がドリーで、彼女の誕生日を祝うために毎年1曲ずつ作られ、献呈された曲です。優しさとあたたかさ、無邪気で明るい調べ。心づくしの演奏が、会場を柔らかく包み込みました。
続くラヴェルの「マ・メール・ロワ」子どものための5つの連弾曲は、プリモ:朋樹さん、セコンド:彩子さんで。「マ・メール・ロワ」は「マザー・グース」を意味し、ペローの童話などから題材を取って作曲されたといいます。第1曲の静謐なパヴァーヌに始まり、第2・3・4曲とイマジネーション溢れる夢の世界を巡ります。第5曲クライマックスの目の覚めるようなグリッサンドは、花火を打ち上げたように華やかでした。
後半の“舞曲を題材にした作品”はプリモ:朋樹さん、セコンド:彩子さん。最初の曲はブラームスの「ハンガリア舞曲集」より、大変有名な2曲です。悠々たる第1番は最高に格好よく、第5番はテンポの緩急が極めて自然で見事でした。
ラストは、ドヴォルザークの「スラヴ舞曲集」より選曲。喜びと哀愁、二つの感情が去来する作品46第2番、素朴でのどかな同第4番。そして、明るく陽気な作品72第1番、センチメンタルな心の叫び同第2番。様々な表情を見せつつ複雑に変化するスラヴ舞曲は、まさに連弾の醍醐味。二人のピアニストが織り上げた音楽のタペストリーに、すっかり魅了されてしまいました。
お待ちかねアンコールは、これまた有名な連弾曲、ブラームスのワルツ作品39−15。深く美しいメロディーが、心を豊かに満たします。連弾の素晴らしさを大いに堪能した一夜となりました。
(H.A.)
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