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気鋭の新星、待望の再来日!
ドミトリー・シシキン ピアノリサイタル 開催レポート
《東京公演》
2015年2月10日(火) 19:00開演 18:30開場
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
2月10日、ロシアから4年ぶりに来日した若手ピアニスト、ドミトリー・シシキンさんのリサイタルが開催されました。「若い天才」の異名を持つシシキンさんは、早くから数々の国際コンクールで優勝・入賞を重ねる実力派。現在はモスクワ音楽院のヴィルサラーゼ教授のもとでさらなる研鑽を積まれています。この日のコンサートも期待に違わず、彼のピアニストとしての限りないポテンシャルを感じさせるものでした。最初に演奏されたのは、ベートーヴェンの中期の傑作《ピアノソナタ第21番 ハ長調 作品53「ワルトシュタイン」》。歯切れの良いタッチとてらいのないストレートな表現で、若々しいエネルギーを感じさせます。つづいてのブゾーニ《「ショパンのハ短調前奏曲」による変奏曲とフーガ 作品22》では、縦横無尽の圧倒的なテクニックで、めまぐるしいほどの刺激に満ちたパフォーマンスが繰り広げられました。
シシキンさんの演奏はリサイタル後半にさらに勢いを増し、ショパンの《12の練習曲 作品10》では文字通り目を見はるようなヴィルトゥオジティの程が披露されました。とりわけ冒頭の作品10-1では、華麗な指捌きもさることながら、王者のような風格をも感じさせる堂々たる響きが大変印象的でした。プログラムの最後をしめくくるのはリストの《メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」》。Shigeru Kawaiのフルコンサートピアノを存分に鳴らしきり、標題通りの悪魔的な雰囲気を醸し出しながら、往年の大ヴィルトゥオーゾを彷彿とさせるスリリングで豪快な演奏を聴かせてくださいました。アンコールはスカルラッティの《ソナタ嬰へ長調K. 319》とプロコフィエフの《練習曲第1番》。どんな難曲もやすやすと弾ききるこの長身の若きピアニストに、客席からは大きな拍手が送られました。
東京公演に引き続き、大阪と名古屋のカワイサロンでの公演も大成功に終わったシシキンさん。今後ますますの活躍が期待されるアーティストです。
(N.J)
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