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石川武蔵 帰国記念ピアノリサイタル 開催レポート
2015年2月4日(水) 開演 19:00
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
本日は、パリ留学から戻られた若手ピアニスト石川武蔵さんの帰国記念リサイタルが開催されました。チケットは事前に完売するほどの大盛況ぶりを見せ、会場となるパウゼは、たくさんのお客様で賑わっておりました。リサイタルはシューベルト《ピアノソナタ イ長調》Op.120 D664で幕を開け、聴き手を心から歓迎されているような、親しみやすく心温まる演奏でした。柔らかい音色で、旋律の歌のようなフレーズ感を丁寧に表現されておりました。
続いて披露されたのは、ラヴェル《クープランの墓》。爽やかな〈プレリュード〉から終曲の〈トッカータ〉まで、各曲の様式感と20世紀印象派の和声感を大切にされた細やかな演奏でした。とりわけ、第3曲〈フォルラーヌ〉でのレースのように繊細な装飾の美しさは印象的でした。
休憩を挟み後半は、ショパンとリストの作品です。同年代に活躍した作曲家兼ピアニストの2人ですが、作風は全く対照的。石川さんはその違いを見事に表現されておりました。
まずはショパンの作品からです。《バラード第1番》Op.23では、ルバートや即興的な細かいパッセージなどが言葉を語るように表現され、曲全体の起承転結がはっきりとしており、まさしく物語を語られているような演奏でした。
続いて演奏されたのは、左手が主旋律を担う《練習曲》Op.25-7。石川さんご自身のプログラムノートに「連綿と続く左手の旋律はショパンが愛したチェロの音色を想起させる。」と述べられていたように、左手は、硬さがなく弦楽器のように滑らかに弾かれピアノとの二重奏を聴いているようでした。2曲ともに、洗練された中にも深い叙情性を感じるような演奏でした。
最後はリストの《巡礼の年第2年 イタリア》より〈ペトラルカのソネット第104番〉と〈ダンテを読んで −ソナタ風幻想曲〉を披露されました。〈ペトラルカのソネット〉ではオペラ歌手がアリアを朗々と歌うように、〈ダンテを読んで〉では、交響詩のように迫力のある表現をされ、先ほどのショパンと打って変わって、ダイナミックな演奏を展開してくださいました。
鳴り止まない拍手に応えられ、アンコールにシューベルト(ゴドフスキー編曲)《楽興の時 第3番》とカプースチン《8つの演奏会用エチュード》より第6番を演奏してくださり華やかに締めくくられました。幅広いレパートリーをこなされる石川さんに脱帽です。さらなるご活躍を期待しております。
(K.S)
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