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中里亜美&山下純代 ピアノ・ジョイントリサイタル 開催レポート
くにたちサロンコンサートin表参道シリーズ Vol.18
2014年12月4日(木) 19:00開演 18:30開場
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
本日は、国立音大出身のピアニスト中里亜美さん、山下純代さんのお2人による、ピアノリサイタルでした。それぞれ大学卒業後はフランスで研鑽を積まれたというお2人は、プログラムにも近代フランスの楽曲を多く盛り込んでいらっしゃいました。会場は、お2人の晴れの舞台を観ようと足を運んで来た方でいっぱいとなり、追加で席を用意しないといけないほどの満席状態でした。先に演奏された中里亜美さんは、ふわりとした音色と水面を滑るような指の動きによる、夢幻的な音楽創りが際立ちました。修士論文ではラヴェルの《夜のガスパール》についてお書きになったという中里さん。やはりラヴェルの名曲の1つと呼ばれている《ソナチネ》では、第1楽章と第3楽章の曲線的な音の流れを、とても美しく描き出していらっしゃいました。一方の第2楽章では、ぽつぽつと並ぶ和音を鐘の音のように、幻想的に響かせていらっしゃいました。もう一つとても印象的だったのは、ラヴェルと並んで近代フランスの代表的な作曲家に挙げられるドビュッシーの《喜びの島》。この曲もまた、華やかかつ神秘的な旋律線と装飾に溢れており、中里さんの音色にとても合っていました。特に、細やかなトリルの美しさは秀逸でした。
後半は山下純代さんによる、ラヴェルを先頭にさらに現代へと時代を進めたプログラム。山下さんの演奏は先ほどの中里さんとは対照的で、明瞭な音色と音と音の間を大事にした音楽創りがとても素敵でした。ラヴェルの組曲《鏡》の中でも鋭いリズムが特徴的な<道化師の朝の歌>を軽やかに演奏された後には、プーランクの《3つのノヴェレッテ》を洒落っ気たっぷりに披露されました。この作品の垢抜けた印象は、山下さんのピアノの音をさらに輝かせていたように思います。続くプーランクの《主題と変奏》では、色々なピアノの奏法が現れ、山下さんの豊かな表現力を楽しむことが出来ました。最後はなかなか日本では聴くことのできないヴィラ・ロボスというブラジル出身の作曲家による《ブラジルの詩》第2番・第3番。<吟遊詩人の印象>と題される第2番はどこか懐かしい旋律を持つ大変美しい曲で、第3番の<奥地の祭>はリズムが特徴的なとてもエネルギッシュな楽曲でしたが、山下さんはこの全く違う色を持った2曲を見事に弾き分けていらっしゃいました。
演奏会のフィナーレにはお2人でプーランクの《4手のためのソナタ》を連弾で、会場の雰囲気も大変盛り上がりました。同じピアニストでも互いに違う特技を持ったお2人の、素敵な共演でした。
(A. T.)
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