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江沢茂敏 ピアノリサイタル 開催レポート
《2012年 日本音楽コンクール 入賞者シリーズ》
2014年11月25日(火) 開場18:30 開演19:00
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 若き音楽家の登竜門「日本音楽コンクール」の入賞者を紹介するリサイタル・シリーズ。当夜は、2012年の同コンクール・ピアノ部門の第3位に入賞した、江沢茂敏さんによるリサイタルが開催されました。コンクールから早2年、今度はリサイタルでどのような輝きを放つのか、注目が集まります。

 引き締まった面持ちで現れた江沢さん。冒頭の曲はベートーヴェンの《創作主題による6つの変奏曲・へ長調・作品34》です。静かな、美しい出だし。変奏のキャラクターの弾き分けが鮮やかです。会場は瞬く間に江沢さんの世界になりました。

 ショパンの《ノクターン・ロ長調・作品32-1》は、甘く切なく、聴き手の心を包み込みます。次第に曲調は大きく変化し、激情、逃れられない過酷な運命のようなものを感じさせました。

 スクリャービンの《3つの小品・作品2》は、究極の美しさ。繊細で、自然で、いつまでも浸っていたい夢のようなひと時でした。

 前半のラストは、フランクの《前奏曲、コラールとフーガ》。江沢さんの熱い思いが、音の噴水となって次から次へと湧き出してきました。すこぶるロマンティックな前奏曲に、静寂のコラール、物思いに耽るフーガ。思いの丈を込めた音楽は天上へと駆け上り、大きなクライマックスを迎えました。

 後半の最初の曲は、再びショパンで、《ノクターン・ハ短調・作品48-1》。静と動のコントラストが素晴らしく、曲の終わりの単旋律の寂寥感は、深い余韻を醸し出していました。

 リサイタル最後の曲は、シューマンの大曲《幻想曲・ハ長調・作品17》。迫力の第1楽章は、大きく揺さぶるような歌心に満ちていました。勇壮な第2楽章は前進あるのみ。付点のリズムが劇的な展開をみせ、中間部の甘いメロディーはどこまでもロマンティックでした。第3楽章は一転して静寂の世界。永遠の時の流れが、美しい調べによって深く切なく歌われ、クライマックスでは最高潮のトーンで高らかに歌い上げられました。江沢さん渾身の演奏。

 会場中を満たした大きな拍手。そうして演奏されたアンコール曲は、同じくシューマンの《子供の情景》より「見知らぬ国から」。小さな子供におとぎ話を読み聴かせるように、やさしい心に満ちていました。

 ピアニストとして大きな一歩を踏み出した、江沢茂敏さん。これからが楽しみです。

(H.A.)

   

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