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神谷悠生 ピアノリサイタル 開催レポート 
《 桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズ Vol.26 》
2014年
11月19日(水) 開場18:30 開演 19:00
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 11月19日に《桐朋学園 サロンコンサートシリーズ vol.26》として、現在桐朋学園大学カレッジディプロマ2年に在籍中の神谷悠生さんによる演奏会が行われました。神谷さんは若手の登竜門である日本音楽コンクールでの入賞をはじめ、桐朋ピアノコンクールなどでも高位の成績を収める気鋭のピアニストであり、ほぼ満席の状態が期待の高さを伺わせました。

 演奏は古典派の作曲家による変奏曲から始められました。モーツァルト作曲《グルックの歌劇「メッカの巡礼」の「われら愚かな民の思うには」による10の変奏曲 ト長調 k.455》では説法の如く堂々とした主題から10の華やかな変奏が繰り広げられました。簡素でありながらも輝くような高音から温かみのある低音に至るまでピアノの音の粒の美しさが見事に表現されていました。

 ベートーヴェン作曲《創作主題による32の変奏曲 ハ短調 Wm0.80》では苦難を乗り越えようとする意志の強さを表す主題を、威厳のある強いタッチで演奏され、観客を一気にベートーヴェンの世界へと引き込みました。途切れることのない集中力で、変奏を重ねるにつれ、より音楽に深みが増していきました。

 続いては時代と国が変わり、フランスの作曲家であるラヴェルによる《夜のガスパール》を演奏されました。

 〈オンディーヌ〉はゆるやかに湧き出る水の清らかさと水の精オンディーヌが優雅に、水しぶきをあげて舞う幻想的な雰囲気で観客を大いに魅了しました。〈絞首台〉は神谷さん自身もプログラムノートに書かれていましたが、「死を客観的に捉え」遠くから鳴る持続した音と豊かな音色でうつろう和音のなめらかさがまるで夕暮れのひと時のようでした。一転して〈スカルボ〉は悪霊の名の通り人を驚かしあざ笑うかのように目まぐるしく動き回り、スカルボに翻弄されているのは観客ではないかと思うほどでした。

 休憩を挟み、後半はショパンのピアノ作品の中でも傑作として名高い《ピアノソナタ 第3番 ロ短調 作品58》を演奏されました。第1楽章は強い悲しみをたたえた冒頭から夢見るような幸福感のある中間部までショパンの揺れ動く心情に寄り添うかのようでした。続く第2楽章では軽やかなスケルツォに始まり故郷を懐かしむ心情を、第3楽章では過ぎ去った幸せを思い出させるような寂しさを詩的に表現されていました。最後の4楽章は再び不安に揺り動かされる心情と、それをはねのけるような強さと推進力で、激しさとともに、ここでも意志の強さを感じさせる演奏でした。

 アンコールではスケルツォop.24-2と子犬のワルツを軽やかに演奏されました。

 圧倒的な表現力と豊かな感性が光る演奏で観客を充分に楽しませてくれました。今後、日本や世界で更に素晴らしいピアニストとして演奏活動をされることを大いに楽しみにしております。

(M.H.)

 

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