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東京藝術大学音楽学部同声会

アンサンブルフェスティバル2014 開催レポート

Tokyo University of the Arts Doseikai Ensemble Festival 2014

Amsel Quartet
11月9日(日)
18:00〜20:00 <出演> 佐渡建洋(Pf) 清水公望(Vn) 中村翔太郎(Va) 袴田 容(Vc)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」 

     

 4日間にわたった「東京藝術大学音楽学部同声会・アンサンブルフェスティバル2014」のトリを務めるのは、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの4人の奏者による正統派アンサンブル“Amusel Quartet”です。

 室内楽の魅力を存分に活かし、自分たちも音楽を楽しみながら演奏をしたい──。そんな思いを込めて選んだベートーヴェンとブラームスは、まさに室内楽の王道。ピアノ:佐渡建洋さん、ヴァイオリン:清水公望さん、ヴィオラ:中村翔太郎さん、チェロ:袴田容さんの若き4人のメンバーが、その真の魅力に迫ります。

 コンサート前半は、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第6番変ホ長調・作品70-2。第1楽章の始まりは、穏やかなソステヌート。チェロが静かに奏でた旋律をヴァイオリンがなぞり、さらにピアノがなぞり、3つの楽器が厳かに融合しつつ響き渡ります。息を呑む会場。そしてアレグロへと変化し、音楽は流れるように滑らかに疾走していきます。第2楽章は平和で軽やか。第3楽章はベートーヴェンならではの優美なメロディー。第4楽章は快活で華やかなフィナーレ。3つの楽器による生き生きとした音楽の対話は、アンサンブルならではの醍醐味にあふれていました。

 後半は、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番ト短調・作品25。演奏時間が40分にわたる、ブラームス渾身の大曲です。雄大な第1楽章は緊張感と情熱に溢れ、心を大きく揺さぶります。第2楽章ではシリアスで美しいメロディーが、自由な展開をみせます。第3楽章は思い切り伸びやかで、並外れたスケールの大きさ。4人の奏者が心を一つにして、音楽の喜びを高らかに歌い上げました。第4楽章は哀愁のハンガリー風音楽。音量もテンポも、最高潮にまでアップされ、極めて情熱的なクライマックスとなりました。感動しました!

 最後の音を弾き切り、盛大な拍手に包まれた時の4人の喜びに満ちた笑顔は、こちらの心に爽やかな印象を与えてくれました。アンサンブルの素晴らしさと面白さに出会うことができた、Amusel Quartetのコンサートでした。

(H.A.)

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