| |||||||
|
|
■Flute Duo Django
東京藝術大学音楽学部同声会
アンサンブルフェスティバル2014 開催レポート
Tokyo University of the Arts Doseikai Ensemble Festival 2014
11月6日(木)19:00〜21:00 <出演> 藤田哲志(Fl) 林 広真(Fl) 松本佳子(Pf)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
『東京藝術大学音楽学部同声会アンサンブルフェスティバル2014』初日となる11月6日は、Flute Duo Djangoのリサイタルが開催されました。本デュオは、東京藝術大学器楽科に在学中の藤田哲志さんと林広真さんにより2012年に結成され、デュオ名である「Django(ジャンゴ)」とは、西部劇で多く用いられる登場人物名で(メンバーの林さんは西部劇がお好きとのこと)、二人で切り開いて行こうではないかという熱い思いが込められております。今回ピアノ伴奏を担当されたのは、同じく器楽科在学中の松本佳子さん。お三方共に息の合った熱演を披露してくださいました。本日は、バロックから近現代までのバラエティに富んだプログラムで迎えてくださり、時折お話を交えながら、終始和やかな雰囲気で進行いたしました。
リサイタルは、モーツァルト《フィガロの結婚》K.492より〈序曲〉の華やかな演奏で幕を開けました。オーケストラの様々な楽器が鳴っているような多彩な音色で、フルート2本とピアノのみで演奏しているとは思えないほどでした。
続いて、イベール《2つの間奏曲》です。第一楽章では、淡いタッチで描かれた印象派の絵画を思わせる繊細な演奏を。スペイン風な曲想の第二楽章では、情熱的で民族色の濃い演奏を披露してくださいました。
次は、林さんと松本さんの演奏によるJ.S.バッハ《ソナタ ハ長調》BWV1033です。林さんは「響きが単純すぎて、演奏が難しい。」と仰っておりましたが、旋律そのものの持つ性格や美しさが丁寧に表現され、端正で洗練された演奏を聴かせてくださいました。
前半最後は、お三方によりドップラー《アンダンテとロンド》Op.25です。それぞれの楽器が対話をしているように感じられ、技巧的で輝かしい演奏に息をのむようでした。
後半は、藤田哲史《MISSION メMy Mission is to make your wishes come true.モ》 で始まりました。この曲は、藤田さんが高校2年生の頃に作曲され、作品に込められた「音楽で皆を幸せにできたら良いな。」という思いがひしひしと伝わる、暗闇に光が射すような演奏は非常に胸を打つものがありました。
ここでお三方は、ビゼーの組曲《カルメン》より〈間奏曲〉をサービスしてくださいました。ビゼーの伸びやかで魅力的な演奏の後は、藤田さんのソロにより武満徹《ヴォイス》を披露してくださいました。この曲は、フルートの音と奏者の発する声が一体となり、透明人間に話しかけるように吹くという独特なスタイルで演奏されます。フルートのあらゆる奏法と言語の発音の共通点が多く感じられ非常に興味深い演奏でした。
武満徹の後、お三方はもう一曲サービスにフォーレ《パヴァーヌ》Op.50をしっとりと演奏してくださり、リサイタル最後の演目となるドゥメルスマン《ウィリアム・テルの主題歌による華麗な二重奏》を披露してくださいました。この曲は、ロッシーニの歌劇『ウィリアム・テル』をもとに作曲されており、ピアノによるオーケストラの描写と、フルート2本による声楽的な表現が素晴らしく、ロッシーニのオペラを実際に鑑賞しているような臨場感を味わえました。
客席からの盛大な拍手に応えられ、アンコールにNHK連続テレビ小説『あすか』のテーマ曲《風笛》を演奏してくだいました。フルートの魅力が存分に堪能でき、大変充実したリサイタルとなりました。
(K.S)
ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2014年 > 東京藝術大学音楽学部同声会アンサンブルフェスティバル2014 > 開催レポート